日本サッカー協会は22日、原則24歳以下で争う東京五輪男子の日本代表18人を発表した。

エースとして活躍が期待されるMF久保建英(20=レアル・マドリード)は順当にメンバー入り。16年11月に初めて五輪世代の代表に入って以来、急成長を遂げた。このチームでは国際大会のタイトルに縁がなかったが、ここにきて主軸の1人、堂安律とのコンビも進化。チームのため、自身の欧州での飛躍につなげるためにも、自国開催の祭典で目標の金メダル獲得を実現させる。

   ◇   ◇   ◇

揺るぎない自信を胸に、久保が五輪に挑む。スペイン2年目だった今季はビリャレアルからヘタフェと2つのクラブでプレーし、ヘタフェを1部残留に導くスーパーゴール。出場機会に恵まれずに苦しんだ悔しさを吹き飛ばし、U-24日本代表に合流して6月のジャマイカ戦では4人股抜きの衝撃弾を決めた。「開催されたときのために準備するのが選手の義務」と、本番に照準を合わせて調整を進めていく。

背番号は7に決定。6月の代表活動ではもう1人のエース候補であるMF堂安とも、あうんの呼吸を見せた。「波長も近いし、『こうしてほしい』と思うことしているのでわかりやすい」と、会話を超えて通じ合う部分を吐露。主軸同士の活躍は金メダルへの絶対条件だけに、連係の進化に手応えを感じている。

17年に初めて五輪世代の代表に招集されてから約4年。飛び級で選ばれた同年5月のU-20W杯韓国大会に始まった五輪までの道のりは決して順風満帆ではなかった。A代表として五輪世代中心で参加した19年6月の南米選手権(ブラジル)ではチリなど強豪を相手に奮闘も、勝利はつかめなかった。その後も、このチームでタイトルとは無縁。それでも「言い訳にはしない」と戒め、今年に入ると、結果を出してチームをけん引。1年延期をプラスに変え、絶妙なタイミングで五輪本番を迎える。

バルセロナ育ちの逸材は数多くの年少記録を打ち立て、スポットライトを浴びてきた。「日本サッカーに貢献できるなら、騒がれることはなんとも思わない」と重圧をものともせず、スペインで挑戦を続ける。所属元であるRマドリードの主力という壮大な目標を実現するため、五輪では同世代が集う中で突き抜けた存在感が求められる。

コロナ禍で開催が1年延期となり、20歳という節目に五輪が巡ってきた。「自分が試合に出ることで、普段サッカーを見ない人が見てくれるならみんながハッピー」。日本中の視線を集める祭典を、さらなる覚醒の場にする。【岡崎悠利】