東京五輪のサッカー男子日本代表が12日、同ホンジュラス代表と国際親善試合(大阪・ヨドコウ)を行い、3-1で勝利した。

A代表の主将でもあるオーバーエージ(OA)のDF吉田麻也(32=サンプドリア)が先制点を奪い、背番号10MF堂安律(23=PSV)が追加点。後半40分にはダメ押しの3点目も決めた。守備陣は後半に得点を許したものの、前半は相手にシュートを1本も許さなかった。今後は17日に優勝候補の同スペイン代表と国際親善試合(ノエスタ)を行い、本大会に臨む。

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背番号10が躍動した。1-0の前半40分、中盤でボールを奪ったDF冨安がパス交換で左サイドを上がり、ゴール前へパスを供給。受けたFW林が落としたボールを、堂安は利き足でない右足ダイレクトで合わせ、左隅を射抜いた。「(林)大地君がいい落としをしてくれた。課題だった右足で決めたのは大きい」と納得の表情を見せた。

後半21分にオウンゴールで1点を返され、攻め込まれる場面が増えてきたところで、ダメ押しの1発を決めた。40分、途中出場のMF相馬の左クロスに反応してニアサイドに走り込み、体を投げ出すように足を伸ばしてボールに触れ、ゴールに流し込んだ。「前ポストのほう(ニアサイド)は(クロスと)点で合えばDFは分かっていてもとれない、点が入るポイント」と、狙い通りの1発だった。

攻撃陣にオーバーエージはいない。「『しっかりやってくれよ』という(森保監督の)メッセージ」と捉えている。MF久保らとの流れるような連係を見せる2列目の仕事にとどまらず、ストライカーとしての役割も担う覚悟がある。「ここぞというときに決める選手が必要。嗅覚を研ぎ澄ませて、勝負どころを考える」。この日の2得点とも1タッチでのシュート。FW顔負けの決定力だった。

海外組は前回の活動を終えてから約1カ月のオフに入っていた。指揮官は「夏場の日本の高温多湿なところは、少しコンディションを作るには難しいかもしれない」と話していたが、フル出場で終盤に全力疾走からダメ押し弾。合宿前から自主トレを重ね、コンディションをしっかり合わせた。「あそこから馬力あるゴールを出せた。自分でも驚いている」と笑った。

オウンゴールで1点を失ったが、目標と公言する金メダル獲得のためには、ここで苦戦しているわけにはいかない。「もっと向上しないといけないところはある。五輪は無観客が決まったが、金メダルを目指して頑張りたい」。17日に対戦する優勝候補スペイン代表との一戦が、悲願達成への試金石になる。【岡崎悠利】