なでしこジャパンが、決勝トーナメント進出を決めた。

11年W杯ドイツ大会で得点王とMVPに輝いた元なでしこジャパンの澤穂希さん(42)は、守備面の課題を指摘。なでしこのレジェンドは「人の心を動かすプレーを見せてほしい」と言った。

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私自身も、ドキドキしながら見ていた。勝たなきゃいけない中で、得点を取って、勝ち点3を取ったことは良かった。ランクが下のチームだったけど1、2試合目に見えなかったサイドからの攻撃、クロスの配給は良かった。前半は相手の背後を取る動きもあった。

得点のシーンも良かった。ただ、今日も含めて、追い越すプレーがもっともっと見たい。ペナルティーエリア内の仕掛けを見たい。岩渕の粘りが、すごく頑張りがあっての得点。エリアの中の仕掛けや工夫が見たいな。

守備が…。う~ん。前半からボール保持者に対して、いかないと。しかも2度、3度と追う人がいない。1度は追えるけど連係、連動していない。周りが付いていかない。足が止まっている。もっともっとプレッシャーにいかないと。暑さは関係ない。初戦は札幌でドーム。屋内だし、ここまで全てナイター。相手もそれは一緒の条件。あとは複数で囲んだ時も、取り切れない。これでは決勝トーナメントでは、相手の思うつぼになる。

次のスウェーデンのイメージは、アメリカといつもいい試合をしているなと。スピード、高さもあって、ダイナミックなプレーもしつつ、足元もしっかりしている。スピードに乗らせないことが大事。日本の技術、戦術を出して戦うべきだと思う。

みんな、うまいことは分かっている。けれど、きれいなサッカーをしている。私がなでしこの時は、宮間、鮫島とか体を丸ごと投げ出していた。それを近くで見ている。ウオーミングアップから、スライディングして、試合前なのにソックスは汚かった。きれいにプレーしようとしなくていい。泥臭さ、がむしゃら、ひたむきさを見たい。

今のままだったら、次は厳しい。決勝トーナメントでは一発勝負。負けたら次はない。先の試合を想定してゲーム運びをしないといけない中で、目の前の1試合だけを考えて、余力を残してはだめ。今持っている以上のものを出さないといけない。

チャンスもそんなにない。決めきらないと次はない。私たちが優勝した11年のドイツW杯と比べて、勝負強さが見えないかなと思う。人の心を動かす、見ている人に伝わるようなプレーを見せて欲しいと思う。(澤穂希、元日本代表)