日本が準決勝で力尽きた。90分では決着がつかず、延長戦の末、スペインに0-1で敗れた。延長後半10分、FWアセンシオ(25=レアル・マドリード)に決勝点を許した。優勝候補を相手に体を張り続けたが、史上初の決勝には進めなかった。6日の3位決定戦は、1次リーグで勝ったメキシコと再戦。1968年メキシコ五輪に並ぶ過去最高成績となる銅メダル獲得を目指す。7日の決勝はスペイン-ブラジルの対戦となった。

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踏み入れたことのない決勝の舞台は、あと1歩のところで閉ざされた。延長後半10分、途中出場のFWアセンシオに左足で決勝点を奪われた。最後は、再三のセーブを見せたGK谷もペナルティーエリア内に入ってCKから得点を狙うも、最後までゴールはこじ開けられなかった。吉田主将は言葉に詰まりながら「次、勝つしかない」と絞り出した。

延長戦に突入すると同時に、森保監督は勝負に出た。ここまで攻撃をけん引してきたMF久保、堂安の2大エースを同時にベンチに下げる決断。疲労の色濃い2人に代え、MF三好、FW前田を投入した。50メートル5秒9の前田が再三スペースを狙うなど推進力は生まれたものの、圧倒的にボールを保持される守勢を覆すにはいたらなかった。

苦しみながらも耐えていたが、最後は一瞬のすきをつかれた。「個の強さがないと、いくら組織力をうたっても強くならない。やはり個で守れる、こじ開けられるところがありつつ、連係連動できることが必要」。戦前に日本の課題について指揮官が口にしていた、まさに個の地力を見せつけられた。

アセンシオに射抜かれたシュートコースは、久保が得意とする右寄りの角度。この日、ほぼ同じところから久保も狙うシーンがあったが、これはDFの素早い寄せで防がれていた。チームのエースとして活躍する久保が「夢」と語るレアル・マドリードのトップチームでしのぎを削る、同じ背番号7をつけたアセンシオとの差があった。

戦いは終わっていない。中2日で迎える3位決定戦に勝てば、68年メキシコ五輪以来、53年ぶりのメダル獲得が決まる。森保監督は「オリンピアンであるか、メダリストであるか、大きな違いがある」と、言葉に力を込めた。12年ロンドン五輪は3位決定戦で敗戦。あの悔しさを知る吉田、DF酒井もいる。ピッチを後にし、目を赤くした選手もいた。その悔しさをも力に変え、メダルをつかみ取りに行く。【岡崎悠利】