東京五輪で初採用されたスポーツクライミング男子複合予選が行われ、19年選手権覇者の楢崎智亜(25=TEAM au)が好スタートを切った。20人が出場した予選を56・00点の全体2位で通過。上位8人による5日の決勝へ駒を進めた。

気温31度の日差しが照りつける中、楢崎は1種目のスピードで魅せた。上位に入るためにも「5秒台」を最低ラインに掲げていたが、1本目でいきなり2位の5秒94を記録。緊張から解放され、右手で左胸を押さえながら安堵(あんど)の表情を浮かべた。その後のボルダリングも2位で、この時点で決勝進出が確定。リードは14位で、総合2位でフィニッシュした。左耳に金色の羽模様のピアスをした25歳は「体力も気力もまだ大丈夫。指皮が減っているから早く回復させて、決勝に臨みたい」と、初代王者の称号を狙い羽ばたくつもりだ。

◆スポーツクライミング 東京五輪ではスピード、ボルダリング、リードの3種目複合で争う。スピードはホールドの位置が国際統一基準で定められ、2人で高さ15メートルの壁を登るタイムを競う。フライングは失格。ボルダリングは高さ4~5メートルの壁に多数のホールドが設置され、複数の課題(コース)に挑んで制限時間内の完登数を争う。壁の高さ12メートル以上のリードは制限時間内での到達高度が記録となる。複合の総合点は3種目の順位をかけ算して算出し、スピード5位、ボルダリング1位、リード3位なら「5×1×3」で15点。点数の少ない方が上位となる。24年パリ五輪ではスピードが単種目、ボルダリングとリードの2種目複合が実施される。