オリンピック(五輪)1年延期で、最年少記録が消滅-。飛び込み界の「超新星」玉井陸斗(13=JSS宝塚)は、東京五輪が21年7月23日開幕になったことで、王手をかけていた日本男子五輪最年少出場記録がなくなった。

玉井は06年9月11日生まれで、今夏の東京五輪に出場すれば、13歳10カ月だった。1932年ロサンゼルス五輪競泳男子の北村久寿雄の14歳10カ月4日を上回る最年少記録となるはずだった。だが新型コロナウイルス感染拡大を受けて、五輪は364日スライド。飛び込みの詳細な競技日程は出ていないが、玉井は開幕日で14歳10カ月12日となり、北村の記録に届かない。

玉井は五輪世界最終予選を兼ねた飛び込みW杯東京大会(4月、東京アクアティクスセンター)の日本代表。同杯で予選上位18人の準決勝に進出すれば、五輪代表に内定していた。13歳の自己ベストは498・50点で、昨夏世界選手権4位相当の高得点。準決勝進出は確実な情勢だった。しかし同杯もコロナ禍に見舞われて6月に延期。さらに開催自体も不透明な状況だ。

玉井は現在、所属先の兵庫県内のJSS宝塚を拠点に、練習を行っている。これまで「オリンピックで(日本人初の)メダルが目標」と話していた13歳。五輪初の延期によって戦前から残る記録の更新は幻となったが、先を見据えて技を磨く。五輪の飛び込みに日本人が初出場したのは1920年。玉井の目標は、日本飛び込み界102年目の悲願でもある。【益田一弘】

◆五輪最年少出場記録 日本人では36年冬季大会フィギュア女子シングルの稲田悦子。唯一の小学生で、開会式前日に12歳の誕生日を迎えた。夏季大会では92年競泳女子の稲田法子。岩崎恭子、春名美佳との中2トリオで最も誕生日が遅く、大会3日目に14歳になった。80年大会競泳女子の長崎宏子は開幕時11歳だったが、日本の辞退で「幻の小学生代表」になった。男子では32年ロス大会競泳男子の北村久寿雄。14歳290日での金メダル獲得は、全競技を通じて男子個人種目最年少記録として残る。

◆玉井陸斗(たまい・りくと)2006年(平18)9月11日、兵庫県宝塚市生まれ。3歳の時にJSS宝塚で競泳、小1で飛び込みを始める。小5から寺内らと練習。昨年4月に日本室内選手権で、12歳7カ月の史上最年少優勝。同7月の世界選手権韓国大会は年齢制限のために出場できなかった。好きな食べ物は牛タン。147センチ、41・5キロ。