男子200メートル自由形で、「カツオ」こと松元克央(24=セントラルスポーツ)が日本新で初の五輪代表入りを決めた。自身が持つ記録を0秒48も更新する1分44秒65で4連覇。派遣標準記録1分45秒76どころか、16年リオデジャネイロ五輪金メダルと同タイムだった。五輪本番会場&今大会の日本新1号で賞金100万円もゲット。夏の本番に向けて、得意のラストスパート「追いがつお」を磨く。

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有言実行の日本新だ。「頭が真っ白になった」というほど飛ばして、150メートルは自身の記録を0秒91も上回った。ラスト5メートルは息継ぎなしで1分44秒65。仲のいい萩野から「速すぎだろ!」と突っ込まれて、照れ笑い。「五輪に初めて内定して本当にうれしい。五輪金メダルに向けて順調」。勝負レースの後に恒例となった「今日は何ガツオ?」には「新記録が出たんで新がつおです」と即答した。

「己に勝つ」という意味から名前は「かつひろ」だが、愛称はかつお。欧米の壁が高い花形種目の自由形で金を狙えるカツオだ。

5年前のリオ五輪選考。19歳で800メートルリレー代表を狙った。だが直前で「やっぱりおれじゃ無理だ」と不安がよぎった。結果は7位。リオで日本は同種目52年ぶりの銅。メンバー入りすれば、メダリストだった、とは思わなかった。テレビで見て「やっぱり選ばれなくてよかった。リレーは4人が同じ目標であるべきで、五輪に出て喜んでいるような人間はいちゃいけない。それは選手同士で気づくんです」。鈴木大地を育てた鈴木陽二コーチのハード練習に耐えて成長した。

鈴木コーチは日本新に「金メダル争いの土俵に上がれたかな」と評価。その上で「150メートルまではいい流れ。ラスト50メートルのラップが26秒8台だと最後に差される。26秒3台で」と強化ポイントを挙げた。もともと得意なラストスパートを、さらに磨き上げて「スーパー追いがつお」になる。

昨春は完璧に仕上げたが、コロナ禍で大会が延期。鈴木コーチに「こういう時に人間の真価が問われる」と言われた。失望感からはい上がって日本新。「1年前の悔しい思いを出そうと思った。このレベルで満足せず、まだまだ強化できる。1分44秒前半を出せば金メダルも見えてくる」。狙うのは「頂点かつお(金メダル)」だ。【益田一弘】

▽日本代表の平井ヘッドコーチ「近年の金メダルは自由形以外が多かった。外国からそう見られているところが若干ある。自由形で金が狙えるとなると本当に強い競泳ニッポンと誇れる」