涙のバースデー日本新! 21歳の誕生日を迎えた東京五輪代表の池江璃花子(ルネサンス)ら400メートルリレーチームが、非五輪種目の200メートルリレーに出場。五十嵐千尋(T&G)-池江-酒井夏海(スウィン美園)-大本里佳(ANAイトマン)の順で泳いで1分39秒67。3日の日本記録を0秒15更新。会場で誕生日を祝福された池江は感極まって涙。五輪前最後の大会で連日の日本新を出して最高の弾みをつけた。

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連日の日本新を出したプールサイド。池江にサプライズが待っていた。電光掲示板に「ハッピーバースデー」の文字が大写しになった。温かい拍手が降り注ぐ。池江は指先をそろえた手で、口元を押さえた。そして両手を広げて、3人の仲間に駆け寄る。もらい泣きする大本を見て、また涙。「日本一か世界一かわかりませんが、本当に幸せなスイマーだと心から思いました。まさかあんなふうに皆に祝ってもらえるとは思ってなかった。涙もろいので…」。

朝決勝の五輪を想定した午前10時44分のレース。「千尋さん(五十嵐)が好タイムで泳いでくれる」。引き継ぎで24秒71と3日から0秒11、アンカー大本も24秒55で同じく0秒15とタイムを上げて1分39秒67。池江は「自分のタイムも上がって2回連続の日本新。ものすごくうれしかった」。20歳最後の日と、21歳最初の日に日本新を出した。

何度聞いても切なくなる。東京五輪のヒロイン候補が19年2月に白血病を公表。そこから3度目の誕生日になった。19年7月4日は「入院中でちょうど誕生日の日に体調が悪くなって。すごくつらい誕生日でもあった」。20年7月4日は退院して復帰レースに向けて練習中。「20歳は(日大の)チームメートにお祝いしてもらった」。そしてこの日は東京五輪代表として涙の日本新。「代表メンバーがいる中で、またこうしてプールで、誕生日を祝ってもらえる。すごく幸せだな」としみじみ。「毎回違った雰囲気で誕生日を迎える。よくがんばってきたなと思う。あ、生きててよかったと素直に思います」。

21歳の抱負について「負けるのは今年まで、と決めてます。22歳で誰にも負けない選手になれるように。21歳でいろんな経験をして来年、これからの水泳人生につなげたい」。誕生日に弾みをつけて次はいよいよ東京五輪だ。【益田一弘】