4大大会のシングルスで、史上初めて実現した日本選手同士の決勝は、世界ランキング2位の上地結衣(26=三井住友銀行)が全仏2年ぶり4度目の優勝を果たした。4大大会初の決勝に進んだ同10位の大谷桃子(25=かんぽ生命)に6-2、6-1の57分でストレート勝ち。今季は1月の全豪に次ぐ4大大会2勝目をあげた。

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元世界女王、第一人者の貫禄だった。上地がわずか1時間足らずの圧勝劇。相手の勢いをミスのないプレーで受け止めた。マッチポイントでバックを決めると、右手で何度もガッツポーズ。「赤土は最も得意なコート。本当にうれしい」と、2年ぶりの大会優勝を素直に喜んだ。

しかし、喜びは、それだけではない。表彰式の優勝スピーチで「まだ、日本選手同士で決勝を戦ったなんて信じられない」。4大大会わずか2戦目で決勝に進んできた大谷を「とても安定した選手」とたたえた。孤軍奮闘で引っ張ってきた日本から、続く女王候補の誕生がうれしかった。

1年延期になった東京パラリンピック。金メダル候補の1人だが「誰もがメダルを狙ってくる」と気を引き締める。その大舞台で「2人で決勝を戦いたい」。上地は表彰式で大谷にエール。日本女子同士の決勝も夢ではなくなった。