テニスの東京オリンピック(五輪)代表が決まる男女の最新世界ランキングが14日、発表された。日本の男女選手で代表が確実と言えるのは、女子で世界ランキング2位の大坂なおみ(23=日清食品)だけだ。大坂は、以前「東京五輪に出場し、金メダルを取るのが夢」と語っていた。

大坂は閉幕した全仏で、「選手への精神的な配慮がされていない」として、大会前に記者会見すべてを拒否することを宣言。1回戦後に言葉通りに会見を拒否し、1万5000ドル(約165万円)の罰金を科された。2回戦を棄権し、うつであることを告白。当分の間、休養するとしている。

男子で世界56位の西岡良仁(25=ミキハウス)と同57位の錦織圭(31=日清食品)は、五輪出場権52人目、53人目と出場権が得られる56人の圏内だ。

しかし、確実かと問われれば、非常に微妙な位置付けだとしか言えない。

男女の世界ランキングには、けがをした選手が使用できる公傷ランキングがある。長期間ツアーから離脱したときに、けがをした当時の世界ランキングを凍結。それが公傷ランクとなり、復帰するときに大会のエントリーに使用できる。一定の期間か、一定の大会数の制限はある。

公傷世界ランキングは、男子では「エントリー・プロテクション(EP)」ランキング、女子では「スペシャル・ランキング(PR)」と呼ぶ。ただ、同ランクは表には出ず、誰が持っていて、それが何位なのかは不明だ。五輪のエントリーに公傷ランクを使う選手が西岡より上に4~5人いれば、圏外に転落する可能性もある。

ただ、錦織自身は、19年9月から約1年ツアーから離脱したため、公傷ランク10位を持つ。それを使用して五輪にエントリーすれば、出場権は確実だ。関係者は、公傷ランクの使用を考えているとしており、問題はないだろう。

28日に開幕するウィンブルドンの男子のエントリーリストを見ると、公傷ランクを使用している選手で、西岡より上位はいない。また、西岡より上位でも出場しない選手もおり、西岡の出場権獲得も濃厚だが確実とまでは言えない。

東京五輪テニス競技シングルスの出場数は男女各64人。14日の世界ランキングを元に、1カ国最大4人、計56人が選ばれ、残り8人は大陸予選枠や推薦枠に振り分けられる。

公傷ランクや欠場者を考慮しないと、14日の世界ランキングで出場権のカットオフは男子で62位、女子で65位。4人フルに出場可能な国は男子がセルビア、ロシア、スペイン、イタリア、フランス、米国の6カ国。女子は米国、チェコ、ロシアの3カ国となっている。

今後は、17日までに国際テニス連盟(ITF)から、五輪出場権資格者が各国のテニス協会(NF)に通達される。その後、22日までに、NFは資格者が出場か欠場かをITFに返信。その時点で、ある程度のカットオフのラインが見えてきて、出場者がほぼ確定する。

【テニス担当=吉松忠弘】