聖火が東日本大震災の被災地・福島に「復興の火」として輝いた。展示式典が24日、JR福島駅東口駅前広場で行われた。内堀雅雄県知事と木幡浩福島市長が列席し、点火前に会場全体で約1分間の黙とうをささげた。

いずれも震災発生日の11年3月11日に誕生した橋本栞さん(福島三小)新井和穂君(森倉小)日出山高雅君(矢野目小)佐々木貴之進君(笹倉小)の小学3年生4人が、聖火皿を除幕した。震災後に南相馬市から福島市に避難した川村桃明(ももあ)さん(岳陽中2年)が点火。競泳の平泳ぎ200メートルでは昨夏、県3位で東北大会にも出場しており「新型コロナウイルスが早くなくなって、少しでも早くできるようになってほしい」と東京五輪開催を願った。

被災3県の県庁所在地での聖火展示は21日の仙台市に続いて2カ所目。JR仙台駅では5万人以上が押し寄せて混乱したが、この日は複数の警察官が長蛇の列を誘導。1メートル以上の間隔を空け、観賞前にアルコール消毒を徹底させた。約10人ずつ15秒間の観賞は展示終了の午後5時まで途切れなかった。五輪延期の機運が高まり、福島県内で26日スタートの聖火リレーも流動的に。孫娘と展示に訪れた佐藤義武さん(78)は「安全が一番なので今は仕方がない」と話した。木幡市長は「希望を持って前に進みましょう」と呼びかけた。【佐々木雄高】