3大会ぶりの出場となった1次リーグA組の日本男子(世界ランキング11位)は、同33位のベネズエラに3-0でストレート勝ちした。主将の石川祐希(ミラノ)や高橋藍(日体大)らの強打に鋭いサーブで流れを与えず、1992年バルセロナ大会以来、29年ぶりのオリンピック(五輪)での勝利。当時のエースで日本を6位に導いた中垣内祐一監督のもと、72年ミュンヘン大会以来のメダル獲得へ好発進を切った。

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五輪の舞台で29年ぶりに歴史が動いた。世界ランキングで上回る日本は、第1セットから攻勢を仕掛けた。石川、高橋、西田といった攻撃陣が得点を積み重ね、リードを広げた。小野寺や山内らブロッカー陣が相手のスパイクを何度も止めるなど、積極的な攻守で連動した。

歴史的な1勝にも選手の反応はさまざまだ。チーム最多の15得点を挙げた石川は、92年バルセロナ五輪時には生まれていなかったこともあり、「あまりピンと来ませんね」。一方で、08年北京大会に出場し、5戦全敗という屈辱を知る清水は「バレー界にとっても、北京世代にとっても大きな1勝」と感極まった。

中垣内監督は「当然ストレートで勝つべき相手。この勝利で一喜一憂はしない」。29年前の92年バルセロナ五輪、5~8位決定戦予備戦のEUN(旧ソ連合同チーム)戦で最後にバックアタックを決めたのが中垣内監督だった。今度は指揮官として勝利を挙げたが「長かったんでしょうけど、久々に勝ったということは僕も選手もあまり気になってはいない」と話した。

1990年代後半にラリーポイント制やネットインサーブが導入されて以降、日本は強力なサーブで攻める世界の潮流から逆行した。ミスを嫌う消極的なサーブから相手の攻撃を受け続けた。過去6大会で5度も五輪を逃した。そのため中垣内監督が17年に就任して以降、口酸っぱく言ってきたのはサーブ力の向上だ。サーブで崩し、ブロックで仕留める-。結果につながったのが19年W杯。鋭いサーブを武器に相手ディフェンスを崩すスタイルが奏功して4位。この日の試合でも4本のサーブ得点に、ブロック得点はベネズエラの5倍の10点あった。

次の26日のカナダ戦に勝てば、目標と掲げる予選突破も見えてくる。中垣内監督は「まだまだ改善の余地がある」。修正を重ねながら、1つ1つ地道に戦っていく。【平山連】