重量挙げ女子59キロ級で安藤美希子(28=FAコンサルティング)が銅メダルを獲得した。1カ月前に右足に重傷を負い、出場も危ぶまれた2度目の五輪。

得意のジャークで意地の試技をみせて、スナッチとジャークのトータル214キロをマークした。リオデジャネイロ五輪女子58キロ級5位の後、韓国に拠点を移した成果を実らせた。日本女子では12年ロンドン五輪銀、16年リオ五輪銅の三宅宏実に続くメダルで、3大会連続の表彰台となった。

   ◇   ◇   ◇

強さの秘密は足元にあった。スナッチ、ジャークそれぞれに職人の手仕事が詰まる特製の靴を履いていた。しゃがみ込みやすいように踵が高い重量挙げ専用靴だが、大手メーカー製を使ってきて、常に悩まされたのが痛みだった。足裏にマメができるなど、解決策を探したどり着いたのは、都内にある「ヂビキ製靴」。オリジナルのゴルフシューズ、紳士靴などを製作して80年以上という町の小さな靴屋だった。

足を測ると、右23・2、左23・6とサイズが違うこと、人さし指が「すごく長い」ことなどが、痛みのもとだと判明。競技規則で靴の制限はないことから、試技の助けになるような細工もしてもらった。スナッチ用は踵部分を台形にしてもらい、バーベルを挙げた時の安定性を高めた。15年に初めて製作し、いまも補修をしながら、愛用。海外大会では、その珍しい逸品が話題になったこともある。

店主の地曵準一郎さん(77)は「重量挙げの靴は初めて製作したけど、役に立ててうれしい」と目を細める。家には安藤がリオ五輪で買ってきてくれた記念コップがある。「素晴らしい靴を本当にありがとうございます!! これからも頑張ります」と書いたお礼通り、母国でメダルを手にした。【重量挙げ担当=阿部健吾】