女子68キロ級でリオデジャネイロ・オリンピック(五輪)金メダリストの土性沙羅(25=東新住建)が2大会連続の五輪代表を決めた。森川美和(20=日体大)との一騎打ちを3-1で制した。

昨年の世界選手権ではメダルは逃したが5位に食い込み、出場枠を獲得した。昨年末の全日本選手権の優勝で五輪代表に内定できたが、準決勝で森川に2-9と敗戦し、プレーオフに持ち込まれていた。それまでの過去3戦、全て10点差のテクニカルフォール勝ちで完勝してきた新鋭に初黒星を喫し、2連敗なら五輪2連覇の可能性が消える窮地だった。

課題は精神面だった。18年3月のワールドカップで、リオ五輪前からの脱臼癖が再発した。手術を余儀なくされ、半年間のリハビリ生活を送った。回復傾向にはあるが、“後遺症”はメンタル面だった。再発を恐れて勢いあるタックルが消えた。重量級では小柄。その体格差を補って余りある低空のタックルこそ真骨頂だったが、「気持ちの面でなかなかいけない」。恐怖心に勝てるかが勝敗の分かれ目となっていた。

森川に雪辱を許さずに、2度目の晴れ舞台を射とめた。体も心も完全復活させ、2度目の頂点に挑む。

◆土性沙羅(どしょう・さら)1994年(平6)10月17日、三重県松阪市生まれ。吉田沙保里と同じ一志ジュニア教室でレスリングを始め、全国少年少女選手権で3連覇、至学館高では高校選手権3連覇。至学館大1年で世界選手権に初出場して銅。17年に初優勝。16年リオ五輪金。17年に東新住建に入社。ツイッターは@SARAbump。159センチ