日本レスリング協会の西口茂樹強化本部長(55)が最終日を前にした8日に世界選手権(ブルガリア)の総括を行い、他国の新型コロナウイルス感染対策の不徹底に怒りをにじませた。

男子グレコローマンスタイル4選手が臨んだこの日の試合では、67キロ級高橋昭五が勝てば五輪内定の準決勝で敗れるなど、出場枠獲得者はなしに終わった。大会初日から行われた男子フリースタイルでは、57キロ級の高橋侑希、86キロ級の高谷惣亮が枠をつかむなど、「全体的にもみて、こういう厳しい環境のなかでみな頑張った」と選手をねぎらったが、話題がコロナ対策に移ると語気を強めた。

「日本人はすごく真面目にやるが、まったくマスクをしないでわめき散らす国が結構ありますね。バスの中も、きちんとやっている国はやっているが、そこの差が激しすぎますね」。大会に臨むにあたり、参加国すべてが徹底した対策を行っていない現状があるという。大会初日にはマスクをしてない、大声で話す選手、関係者をガードマンが注意する姿があったが、2日目以降にはいなくなったとした。「特に今日はひどいですね。どこからか人が入り、マスクをしないでわめきちらすは、暴れるは大変ですね」。無観客にもかかわらず、看過できない場面があった。

選手を預かる責任者として、「今回の予選はみな頑張った。こういう環境の中でも恥ずかしくない試合をした」と強調した。今後の国際大会の派遣については、男子フリー、女子は国内調整。男子グレコはポーランドへの派遣も検討しているが、今大会の感染対策を直視すると、二の足を踏む現実もある。「金メダル5つ、メダル10個」の目標を掲げる五輪へ、難しい調整を強いられることになりそうだ。