レスリングの男子グレコローマンスタイル60キロ級で銀メダルを獲得した文田健一郎(25=ミキハウス)が3日、一夜明けて会見を行った。「金メダルを目標に取り組んできて、くやしい部分も大きかったですが、銀メダルという結果は応援してくださった方々のおかげと実感しています」としみじみと言った。

昨夜は一睡もできなかったという。「すごくいろんなことを思い返した。試合内容などいろんなことを思い出したりしたが、それと同じくらい、リオ五輪からの5年を思い出しました。1度目の世界選手権、2度目の世界選手権、と1つ1つが脳内に流れていって。考えていた色のメダルではないですが、僕が認めてあげなくちゃいけないなと。この5年間を絶対に否定しちゃ駄目だと考えた夜でした」。こぼれ落ちる涙を手でそっとぬぐった。

「投げるレスリング」を教わった父俊郎さんとは「まだ何も話していない状態」と明かした。「昨夜は1人で部屋にいたんですけど、父から午前1時半に電話があったのですが、出られなくて。出なくて.何と言おうか、何て父と話していいのか、分からなくなってしまって」と言葉をつまらせた。「自分以上に東京で金メダルを望んでいましたし。投げて勝つスタイルは父が教えてくれたレスリングなので、優勝して父のすごさを証明したかったのですが、3年後に延期になっちゃった。持ち越すことになったので、気持ちを整理してから、あらためて父に言いたいです」と話した。

今後については「試合が終わってすぐコーチにも『五輪の借りは五輪でしか返せない』と言われた。その言葉を胸に、パリでは1番いい色のメダルを持って、笑顔でマットから降りたいと思います」と、3年後のパリ五輪で金メダルを目指すと宣言した。

「少し休養を取りたいです。レスリングからちょっと離れて、自分にご褒美をあげたい」という文田。猫好きで猫カフェに通い、そり投げも得意なことから「にゃんこレスラー」の異名を持つ。今後、猫カフェに行くか聞かれると「はい。こういう状況(=コロナ感染拡大中)ですし、大会前は行ってなかったので、少し癒やされて、猫欲を満たしに行きたいと思います」と、満面の笑みを見せた。