「つまらないヤツ」とボヤかれても…ヤンキース・ジャッジを愛すべき理由

メジャー取材歴の長い水次祥子記者のコラム「MLB 書かなかった取材ノート」から、傑作選を。2015年から連載中です。大谷翔平とのMVP争いであらためてフォーカスされたスラッガーをピックアップ。(2017年6月18日掲載。所属、年齢などは当時)

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今年のオールスターファン投票が行われている真っ最中だが、ア・リーグの中間発表ではヤンキースの新人アーロン・ジャッジ外野手(25)が全体トップの票を集め話題を呼んでいる。

現在のヤンキースは若い強打者がそろい「ベイビー・ボンバース」と呼ばれているが、中でもジャッジは両リーグ最多の本塁打をマークし、その飛距離や打球速度も他を圧倒。瞬く間に若き新星の誕生となった。

2018年10月9日、レッドソックス戦のヤンキース・ジャッジ

2018年10月9日、レッドソックス戦のヤンキース・ジャッジ

注目度は日に日に増すばかりだが、ジャッジ自身は非常に謙虚な人柄だ。

5月のある試合で、ジャッジを含む複数の選手が大事な場面で打ち勝利したことがあったのだが、試合後に報道陣が話を聞こうと囲んだとき、ジャッジは「僕のことはいいですから、他の選手に話を聞いてください」というのだ。

その場にいたある記者は後日「僕らは彼に話が聞きたいから囲んだのに。つまらないヤツ」と陰でぼやいていたが、記者泣かせなほど奥ゆかしい性格だということだ。

そんな人柄は、ジャッジの生い立ちが影響しているのかもしれない。

92年4月に生まれたジャッジは、誕生の翌日に養子縁組され、育ての両親に引き取られたという。