大谷翔平のお茶目なジョーク「クビを切られなければ」連覇狙う/16年リーグ優勝手記

大谷翔平が日本ハム時代の2016年(平28)、被安打1の完封勝利でリーグ優勝を決めた直後の独占手記を復刻します。初々しさとあどけなさ、発展途上の二刀流への思いが同居した、バランスが絶妙な1本です。(2016年9月29日掲載。所属、年齢などは当時)

MLB

二刀流で頂点に導いた。日本ハム大谷翔平投手(22)が、西武25回戦(西武プリンスドーム)で、被安打1の今季初完封で4年ぶりの優勝を決めた。打席に立たず、投手専念で今季最多15奪三振、3年連続の2桁となる10勝目だった。右手中指のマメの影響でマウンドから遠ざかった時期もあったが、4年目で22本塁打など打撃成績も自己最高。投打両方で中心となった稀代(きたい)の二刀流選手が、手記を寄せた。

2016年9月28日、完封で優勝を決めた日本ハム大谷(右)は、歓喜の輪から離れ、満足感を漂わせる

2016年9月28日、完封で優勝を決めた日本ハム大谷(右)は、歓喜の輪から離れ、満足感を漂わせる

うれしいです。こみ上げてくるものがありました。優勝のかかった試合が、自分の登板に回ってくることも、なかなかないことですし、相手が(花巻東の先輩)雄星さんだったので、僕的には特別な感覚。勝つには最高のシチュエーションでした。

開幕からずっと勝てなかった時期は、しんどかったですね。そんなに悪い内容ではなかったですけど、結果が出ないので。勝てるイメージが湧いてこないというか、どうやって勝っていたのかな…と、正直、分からなくなりました。

ソフトバンクともだいぶ開きましたし(最大11・5ゲーム)、史上最速で優勝するのではと言われてたのも知ってました。あの時は、追いつけるという感覚では、いなかったです。

振り返ってみて、ポイントは、7月3日のソフトバンク戦(1番投手で先頭打者弾&8回無失点)ですね。

2連勝で迎えた3戦目。しっかりと3連勝できて「よし、いける」という雰囲気も出てきました。第1打席は、ホームランか三振かという心づもりで臨みました。打ったから、勝ったから言うわけじゃないですけど、大事な試合で結果を残せてよかったなと思います。結果的に15連勝につながって、これはいけるんじゃないかという思いが出てきました。

2016年9月28日、西武戦で4年ぶりのリーグ優勝を果たし、歓喜する大谷(中央)ら日本ハムナイン

2016年9月28日、西武戦で4年ぶりのリーグ優勝を果たし、歓喜する大谷(中央)ら日本ハムナイン

(二刀流4年目で)総合値としては、どちらも高くなってきていると思います。投手では、良くないときでも、それなりのパフォーマンスを出せる基準は上がってきたなと。

でも最高のパフォーマンスでは、まだない。164キロも出ましたけど、しっくりきた感じはないですね。あのときも登板が開いていたので、肩が元気だったんじゃないですか。