【忘れられない味〈2〉横浜家系ラーメン 田中】「おいちぃ~」からの巨人CS大逆転
記者には「忘れられない味」がある-。2年前に日刊スポーツ紙面で連載したシリーズのSeason2。取材先で、仕事の合間に、または仕事から離れた日常に出会う味は、原稿の絶妙な「調味料」になります。記者のサイドストーリーをご賞味ください!
その他野球
験を担ぐのが好きな人がいる。これは善しあしではない。成功を願うからこそ、最後の最後に見えない力にも頼りたくなるのだろう。野球記者2年目の12年秋、そんな勝負への執念を思い知る3日間を過ごした。
担当する巨人はシーズンを独走で制し、クライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで2位中日を本拠地に迎えた。1勝のアドバンテージがあったものの、あっという間に3連敗。あと1敗で終戦と、徳俵に足が掛かった。
★好きすぎる 束になったトッピング券
忘れられない3Daysは、CSファイナル第4戦が行われた10月20日に始まった。試合前の練習後、食事をとろうと当時の巨人担当キャップだった金子航先輩と東京ドームを出た。
水道橋駅へと続く歩道橋を渡ると、飲食店が見える。改札の前を過ぎれば、右手にキャップ行きつけのそば屋「ゆで太郎」が構える。
この年はトッピング券が束になるほど一緒に通った。今日も、きっとここだ。
違った。見慣れた青い看板の前を険しい顔のまま無言で通過した。おかしい。飽きもせず、試合前はそばを「おいちぃ~」と満面の笑みで吸い込むはずなのに。
★ぽっちゃりキャップの決意表明
元ラガーマン、おにぎりのようなフォルムから愛くるしいポッチャリ感を漂わせるキャップの重厚な足取りは、その先のラーメン屋で止まった。「入るぞ」。愛するそばに別れを告げる、力強い決意表明だった。
店の名は「横浜家系ラーメン 田中」。キャップに続いて、迷わずサービスのライスも頼んだ。やや座面の高い椅子に座ると、濃厚そうなラーメンが着丼。うまそうだ。
