【球界セカンドキャリア~コロナ前〈1〉】引退「不安」72%、会社員「興味」57%
球界のセカンドキャリアを追った中型連載を再掲します。6年ひと昔。新型コロナウイルスの感染拡大を経た今、もう1度追いかけ、比較してみたいテーマです。(2016年5月24日掲載。所属、年齢などは当時)
プロ野球
プロ野球選手なら、誰もが迎える現役引退。ユニホームを脱いだ後、プロ野球を離れ、新たな世界に進む選手は多い。「引退前<引退後 ~セカンドキャリアの今~」。第1回は、日本野球機構(NPB)のキャリアサポート担当・手塚康二氏(67)に現状と課題を聞いた。あるアンケートから見えるものとは-。
フェニックスリーグ参加231選手が回答
72・7%。NPBは昨秋、フェニックスリーグ参加選手を対象に、引退後のセカンドキャリアに関するアンケートを実施した。9回目の恒例だが、「引退後に不安を感じているか?」に「はい」と答えた割合が冒頭の数字だ。
実は、この数字、毎回ほぼ一定。常に、約4人に3人が引退後の不安を抱えていることになる。理由は「収入」(44・5%)と「進路」(43・8%)の2つで大半を占める。
同リーグは2軍の若手が中心。回答した231人の平均年齢は23・7歳だった。1軍の主力なら蓄えもあり、引退後も指導者、解説者、球団スタッフなど選択肢は広がる。当然、不安は減るだろう。手塚氏のメインのサポート対象は、そういう主力選手ではなく、不安を抱えたまま引退しプロ野球を離れる選手たちだ。
アンケートでは退団後の希望進路も聞いている(表?)。1位高校野球の指導者、2位大学・社会人野球の指導者は、根強い人気がある。ただ、昨年は注目すべき変化があった。
3位に一般企業の会社員が前年7位から急浮上。「やってみたい」は6%にとどまるが、「興味がある」が57%もあった。下位の常連だっただけに、手塚氏は「安定志向が増えているのかな」と分析。「プロにまでなった選手なら、外の世界でも成功できる。ぜひ挑戦して欲しい」と歓迎する。
手塚氏は07年、ロッテ球団からNPBに出向(2年後に転籍)。引退後のキャリアサポートで先行していたJリーグに負けじと、取り組んできた。もしかしたら、選手は不安を感じる必要はないかも知れない。同氏は「元プロ野球選手の肩書は強い」と強調する。
企業の人事担当から「引退した選手を紹介して欲しい」との照会は少なくない。業界も多彩。保険会社、自動車ディーラー、タクシー会社、バス会社、パチンコ店、介護業。ガッツがあり、チームプレーが身についているスポーツ選手は、企業が求める人材と一致する。
トライアウトの際、それら企業の連絡先を配布。約20社に上る。だが、このルートで入社に至るケースは限られるという。手塚氏は「戦力外になってから企業を紹介しても遅い」と実感した。
