【サブロー編成部長の眼力〈1〉】バラバラなのに本塁打…万波中正にマグワイアを見た

4年前のユニークな企画を紹介させてください。ロッテを引退したサブロー氏が編成部長となり、全国のドラフト候補を直接視察し、ジャッジするするというもの。経験を裏打ちとした眼力は確かで、県大会での特大アーチを絶賛した横浜高校・万波中正は目下、日本球界で最もロマンを感じさせる選手に成長中です。同氏は2019年オフ、楽天のファームディレクターに就任。金の卵を発掘する企画が本職となり、その資質を生かしています。(2018年7月24日掲載。所属、年齢などは当時)

高校野球

◆サブロー(大村三郎=おおむら・さぶろう)1976年(昭51)6月1日、岡山市生まれ。PL学園から94年ドラフト1位でロッテ入団。05年には千葉ロッテマリンガン打線の「つなぎの4番」としてリーグ優勝に貢献した。11年途中に巨人へトレード移籍も、同年オフにFA宣言してロッテ復帰。16年に現役引退し、現在は楽天のファームディレクターを務める。通算1782試合、1363安打、127本塁打、打率2割6分5厘。ゴールデングラブ賞2度。181センチ、90キロ。右投げ右打ち。

現場主義を貫いたサブロー氏。アマチュアの全カテゴリーを精力的に視察した=2019年5月23日

現場主義を貫いたサブロー氏。アマチュアの全カテゴリーを精力的に視察した=2019年5月23日

ドラフト候補の横浜(南神奈川)万波中正外野手(3年)が、横浜スタジアムのバックスクリーン看板を直撃する通算39号2ランを放った。3安打5打点を挙げ、6回コールド勝ちに貢献。1年夏、同球場でバックスクリーン直撃の公式戦1号を放った主砲が3連覇へ導く。高校野球100回大会の日刊スポーツ「編成部長」を務める前ロッテのサブロー氏(42)は、その万波を視察。「育ててみたい」と評価した。

マウンドに上がることも多かった万波。躍動感に満ちている。サブロー氏は、最速147キロの肩にも着目=2018年7月21日

マウンドに上がることも多かった万波。躍動感に満ちている。サブロー氏は、最速147キロの肩にも着目=2018年7月21日

まだバッターじゃない 伸びしろ無限

万波の本塁打は、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃した。振る力はある。パワーも申し分ない。コンゴ出身の父を持ち、生まれ持った筋肉の質、バネは純粋な日本人にはないものがある。

尻の位置の高さを見ても、うらやましい限りの体つき。今の日本球界に不足する右打者で、楽天オコエと比べると走るスピードはないが、投手として最速147キロを投げる肩の強さもある。

◆万波中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年(平12)4月7日、コンゴ出身の父と日本人の母の間に生まれた。東京都出身。小2で野球を始め、開進二中では東練馬シニアに所属。陸上部では砲丸投げで都大会優勝。横浜では2年夏、3年の夏甲子園出場。18年ドラフト4位で日本ハム入団。19年8月14日ロッテ戦で1軍デビュー。身体能力の高さは新庄監督の目にも留まり、大きな期待をかけられている。192センチ、96キロ。右投げ右打ち。

東練馬シニア時代の貴重な1枚。スーパー中学生特集で紹介された。遠近感を狂わせるサイズが、当時から際立っている

東練馬シニア時代の貴重な1枚。スーパー中学生特集で紹介された。遠近感を狂わせるサイズが、当時から際立っている

バッティングの技術に関しては、まだバラバラ。手の使い方も、下半身と上半身の連動という部分も恐らく分かっていない。