男子校の早実に女性ファン乱入!学ランで変装して教室で授業/荒木大輔〈8〉
甲子園の申し子、早実・荒木大輔の大型連載も佳境の第8回です。適度な「抜け感」でフィーバーを楽しむ…周囲のアシストも見逃せません。(2017年7月20日掲載。所属、年齢などは当時、敬称略)
高校野球
★あこがれの隣で1時間
「大ちゃんフィーバー」で沸いた荒木以降、早実が生んだ甲子園のアイドルといえば、06年夏に日本一に輝いた斎藤佑樹投手(29=日本ハム)が真っ先に挙がる。
ただ「佑ちゃんフィーバー」は、3年夏の甲子園中から始まった。
1年夏から熱狂が続いた荒木は「斎藤も大変だったと思うけど、比じゃないと思う。あいつは3年生からだから。大学は大変だったかもしれないけど、高校はいい思い出ぐらいの感じだと思うよ」と言う。
荒木が3年生になった頃、男子校の早実の教室に、女性ファンが学ラン姿に変装して入ってきたことがあった。
「昼休みが終わった時だったか、急に女の子が入ってきて。先生も昔からいた経験豊富な方で、気が付かないふりして授業を受けさせたんだよ」
ちょうど荒木の隣の席が空いていた。そこに座らせて、1時間授業を受けて帰った。他の学校なら大問題になるかもしれない事態を、教師も生徒もみんなで楽しむような空気感。バレンタインデーに荒木以外の選手がファンからチョコレートを受け取り、喜んで開けると「荒木君に渡して下さい!」の手紙入り。そんなことが、日常の笑い話になる環境が心地よかった。
★「みんなも楽しめ」
当時の和田明監督(享年54)の教えも大きかった。捕手の松本達夫は「守ってやれって言い方じゃなくて、みんなも楽しめと。こんな環境で生活できる、野球できる、お前らもそういう環境の中に置かれているんだから、すごい貴重な経験だよ。それを楽しみなさい。決してマイナスになると思っちゃいけませんって諭されましたね。純粋な時期ですから、染みてますね。言葉として重く」。
2年夏、甲子園3回戦で報徳学園(兵庫)に延長10回サヨナラ負けした荒木は、最上級生になった。
「日本一への気持ちはあったけど、そのために必死に練習したとか、それはない。それが今思えば悔やまれる。駅からグラウンドまで走るけど、それも一番上になるとタラタラになる。もっと一生懸命やれば良かったって。勝つために。ランニング1つにしても、途中でやめないで、最後までキチッとやるとか。そういうものの積み重ねだよ、高校野球って。そういう精神的なものがゲームに出る」

東京都出身。2000年入社。
写真部、盛岡支局を経て、05年11月から野球部に所属。担当歴はロッテ―アマ野球―ヤクルト―アマ野球―NPB―遊軍―巨人。
直近は原監督が復帰した19年から2年間巨人を担当し、21年から野球部デスク。