【楽天週間〈3〉最下位指名のロマン】平石、渡辺、辛島、島内…愛すべき面々が集う街

楽天特集。第3弾はドラフト最下位指名のロマンを取り上げます。スカウトの眼力、本人の資質と努力、育成。三位一体でのし上っていく選手を応援できる喜びは、ファンの特権です。イーグルスにはその土壌があり、おらがチームの魅力をグッと高めています。監督と打点王に上り詰めた2選手のコラムをどうぞ。(年齢などは掲載当時)

プロ野球

?04年ドラフト7位 平石洋介の場合

[お金じゃないんです」。格好いい言葉だが、仮に自分がそういった選択を迫られた時「お金じゃない方」に進める自信は、正直言ってあまりない。

楽天平石洋介監督(38)は、それができる人だった。

13日、京都で開催された同大野球部OB会主催の激励会。平石監督が04年ドラフト7巡目で楽天に入団した時の秘話を、当時の監督だった田尾安志氏が明かした。

ドラフトの数カ月前、中日でコーチやスカウトを務めた法元英明氏から連絡が入った。「平石という選手を取ってくれないか」。

PL学園高―同大―トヨタ自動車と王道を歩んできた選手。「レギュラーを取る力はありますか?」。田尾氏の問いに法元氏は「ない」と即答。「それだったらプロに入らず、トヨタ自動車でお世話になった方がいいんじゃないんですか?」。引退後も大企業で不安なく働けるからだ。

イーグルス第7代監督に。自ら退路を断ち、上り詰めた=2019年8月28日

イーグルス第7代監督に。自ら退路を断ち、上り詰めた=2019年8月28日

それでも平石本人は「とにかく自分の力を試したい」。最も低い順位で楽天に指名された。

「ある日、平石くんが切羽詰まった顔で僕のところへ来たんです。『どうしてもプロへ行きたい』と」。

当時トヨタ自動車コーチだった、元監督の山中繁氏も説得を試みた。「お前だったら、間違いなく部長クラスになれる。生涯賃金ウン億円まである。お前は(選手として走攻守が)平均的だから、プロにいってもそう(簡単に)活躍はできない。トヨタにいる生涯賃金を超えることは難しいぞ」。山中氏の気遣いに感謝しつつ頭を下げた。「お金じゃないんです」。熱意でプロの扉を開いた。

「僕は(選手として)何も結果を残していない」。通算122試合、37安打、1本塁打、打率2割1分5厘。大成できなかったが、引退後は1、2軍の指導者を歴任し、楽天の第7代監督に就任した。

「『何であいつが監督なんや』と思う人も、いっぱいいるでしょう。でも(選手で)結果を残してるから、指導者としていいかどうかは決められない。やる以上は、腹をくくってやりたい」。鋼の意志で再び道を切り開く。(2019年1月21日掲載)