4年間で許した盗塁は4個!内海哲也のけん制&高速クイック/プロの技〈3〉
西武の内海哲也投手兼任コーチが忍ばせている「プロの技」。技巧派ならでは、走者を進めない懐刀のテクニックを惜しげもなく披露してくれました。(2015年2月24日掲載。所属、年齢などは当時)
プロ野球
巨人内海哲也投手(32)は独自の「けん制」と「クイック投法」で、11年からの4年間で4盗塁しか許していない。捕手の力も大きいが、4年で101試合に先発した上では驚異的な数字と言えよう。走者に盗塁させない「技」に迫った。
★62・9回に許盗塁1 スキなし
内海がこの4年間で許した盗塁は、わずか4個しかない。
盗塁するのは至難の業。昨季セ・リーグ盗塁王のDeNA梶谷は「スタートを切りにくい部分がある。とにかくクイックが速い」と驚嘆した。内海は「剛速球投手じゃないから、総合力で戦わないと」と自己分析する。
◆内海の許盗塁昨年は3人が盗塁を試みて、全員失敗。昨年セ・リーグの規定投球回に到達した15人で、許盗塁0は内海だけだ。過去4年で4盗塁しか許しておらず、通算でも1698回 2/3 を投げて許盗塁は27個だけ。許した盗塁は62・9回に1個のペースで、通算1200回以上の現役投手では久保(DeNA)の55・9回を抑え、内海が最も走りにくい。同じ左腕でも杉内(巨人)は13・9回、成瀬(ヤクルト)は24・2回に1個のペースで盗塁を許している。
走者は出る。ならば、塁を進ませなければいい。けん制とクイック。内海が勝てる投手たる1つの理由がここにある。
ひと言で「けん制」といっても、種類はさまざまだ。プレートを外してから投げるもの、プレートを外さずに投げるもの。投げるふりをする「偽投」や、緩急をつけることもできる。顔を動かし、足を上げる高さも変えられる。投球と同じで、けん制にも無数の「組み立て」が存在する。
一般的な投手は、相手を惑わせてスタートを遅らせるために、けん制の組み立てを行う。内海は違った。
★ひらめき 西岡剛のコメント
5年前、ロッテ西岡(現阪神)の談話を報道で目にした。「投手の動きが多い方が走りやすい」。ささいな一文が、逆転の発想を生んだ。動かなければ、癖も出ない。
バリエーションを増やすのではなく、無駄な動作を省く。「セットの動きを少なくすること」と試行錯誤を繰り返し、つくりあげた。
昔からけん制のスピードは秀でていた。右足を素早く上げ、前腕から先だけでスナップを利かせて一塁に投げる。
この技は中学時代の監督に「こんなけん制もある」と聞いたものだった。すぐに試合で試すと走者はアウトになったが、相手監督が「ボークだ」と抗議。試合が中断する騒動となった。それほどの高い技術があった。「けん制の練習に多くは割けない。試合で投げていくうちに『こうした方がいいな』というのが出てくるんです」と地道に精度を上げていった。
★鉄仮面で凝視
まねできそうな部分はある。梶谷は「リードして内海さんを見ると目が合う。なかなかこういう経験はない」と苦笑いする。
内海は「例えば首を『ホーム、ファースト、ホーム』って何度か動かしていくと、絶対にパターンができる。危険です」と説明した。ボールを持つ主導権を生かし、走者とにらめっこの状況をつくる。無表情で凝視して不気味に感じさせ、心中を読ませず、動きを封じる。目線でけん制し、心理戦を制す。
ヤクルトのテクニシャン・石川投手も「動きが増えると癖も出るし、走るきっかけを与えますから」と同調。さらに「内海君はクイックもうまいから、すごいんですよ」と続けた。
