シーズン214安打を積んだ最強助っ人 マートンのインサイドアウト/プロの技〈6〉
阪神、いや歴代の日本球界でも最強の助っ人に入ってくるでしょう。マット・マートンの貴重な打撃論をピックアップします。(2015年2月26日掲載。所属、年齢などは当時)
プロ野球
「90度の扇」が安打製造のコツだった。阪神マット・マートン外野手(33)はバットを体の内側から出す「インサイドアウト」の達人として知られる。阪神5年間で3度のリーグ最多安打を誇り、昨季は首位打者にも輝いた。日本で通算打率3割1分7厘を誇るスタイルの作り方とは? メジャー超大物スラッガーの打撃理論が礎にあった。
★ジアンビ直伝
09年初秋のことだ。マートンは毎日のように打撃談議に花を咲かせた。ロッキーズの本拠地クアーズフィールドのベンチ。相手は現役20年間で通算440本塁打を誇り、今月引退を表明したジェーソン・ジアンビだ。
左の強打者は当時38歳。8月にロッキーズとマイナー契約を結び、9月にメジャー昇格したばかり。同じく出場機会に恵まれなかったマートンは、ここぞとばかりに11歳上のレジェンドを質問攻めにした。
マートン1カ月以上、ベンチでよく話をした。ジアンビはスラッガーで引っ張りのイメージが強かったけど、彼もバットを内側から出すイメージを持っていた。僕との違いは、ミートポイントを前にするか後ろにするか、だけ。彼はポイントを前に置くから、引っ張る打球が多いだけだった。
球界では好打者の指標として、バットを体の内側から出す「インサイドアウト」をチェックされる。マートンは大先輩の打撃理論を確認した直後の09年オフ、阪神に入団。異国の地でもインサイドアウトを重視し、来日1年目の10年にシーズン214安打でオリックス・イチローの日本記録を更新した。
抜群の確実性を誇るインサイドアウトには、3つのポイントがあった。
①左前腕とバットの角度バットを構えた時から、常に90度に保つんだ。バットを出しやすい角度だね。90度を意識することで、ボールを打ちに行っている時も常に、グリップよりヘッドを後ろに置くことができる。
②右肘と体の密着ヘッドは、できるだけ体の近くから出したい。だからトップの位置からミートポイントに向かう時、右肘があばら骨の前を抜けていくようなイメージにしている。
③ヘッドをリリースさせるタイミングいい打者は前足(右打者の場合は左足)の前で打つ。プルヒッターなら、少しポイントが前になるけどね。右肘が右胸あたりにつくと、腕を伸ばす。あとは自然とヘッドをリリースするだけさ。
