「5つの秘密」が原動力 吉見一起の制球力・技術編/プロの技〈9〉
自身のYouTubeチャンネルのタイトルは「コントロールチャンネル」。中日でエースを張り、現在はトヨタ自動車でテクニカルアドバイザーを務める吉見一起氏が明かした、制球の極意。(2015年8月13日掲載。所属、年齢などは当時)
プロ野球
ライバルたちが認めるコントロールを持つ男、中日吉見一起投手(30)が、制球力の秘密を明かした。5年連続2桁勝利など球界を代表する先発投手の吉見を支える技術は、研究の末にたどり着いたフォームにあった。2回にわたって掲載します。第1回は技術編。
★自分の形を見つけて
最初に断っておきたいのは、万人に対する「正解」はないということ。「人それぞれ形は違う。自分で考えて、自分の形を見つけてほしい。投げやすい投げ方で投げてほしい」というのが吉見の考えだ。
今のプロ野球選手に「最もコントロールのいい投手は」と聞けば、真っ先に名前が挙がる。そんな完全無欠の制球力を誇る右腕は、言葉を選びながら、5つの秘密を明かしてくれた。
◆スピードはいらない吉見の基本姿勢。「本当は今でも150キロを投げたい。でもそれはできない」。スピードを求めたらフォームの中に「反動」が必要になる。吉見は反動を極力使わない投法を探る。
◆3つの軸①軸足1本で立つ②踏み出し足の着地③フィニッシュ。この3つを吉見は「軸」と呼ぶ。
まずは①。右足の中指、薬指の付け根あたりに体重を乗せてまっすぐ立つ(写真)。
②のとき、スピードを重視する投手は反動を使いたがるため、重心がまだ後ろにある場合が多い。吉見は、中心よりも少しだけ前に出ている。強い球は投げられない。しかし力投型投手のように勢いを付けない分、体がブレず、制球の精度が高まる。
③は左足1本できれいに立てるのが理想。勢いがつきすぎるとバランスを崩す。「どこかで反動を加えるのではなく、ロスなく入っていくことを意識している」。また吉見は「左足を上げて軸足1本で立ったとき『ここにいきそうだな』と球筋が分かる」という。最初の軸を作った段階で、第2軸、第3軸にスムーズに移行できる=精度の高い制球をイメージできるようになったという。
◆左手の使い方グラブをはめた左手を、投げたい方向に突き出す。マウンドの傾斜を使って自然に体重移動をしながら、その突き出した左腕に右手をパチンと重ねるようなイメージで投げる。「左手のところに右手を入れる。持っていくイメージ。実際にはグラブは引いている。でもイメージは、左手のところに右手を入れ替えるように合わせるだけ。傾斜があるマウンドの方が好きです」。
