【家族の力・大野雄大】「なんでうちにはお父ちゃんがいいひんの?お父ちゃんほしい」

家族がテーマの水曜日。中日大野雄大投手の母・早苗さんが、入団時に寄せてくれた手記を送ります。完全試合を逃しても、わがことのようにサヨナラ勝ちを喜ぶ姿。中盤以降に尻上りで援護を待つ、芯の太さ。お母さま、すべての野球好きを喜ばせる選手に育ててくださって、ありがとうございます!(2011年1月5日掲載。所属、年齢などは当時)

プロ野球

幼少期。お母さん似

幼少期。お母さん似

中日にドラフト1位で入団する大野雄大投手(22=佛教大)は、母早苗さん(50)と二人三脚の野球人生を歩んできた。プロ野球選手を女手一つで育て上げた母が、胸に秘めた思いを語った。

■2歳で京都へ…簿記資格

入団おめでとう。やっと夢のスタートラインやね。今でも本当に信じられへん。

生まれたときは3740グラム。あの時は男の子なんかどうやって育てていけばいいんやろうって悩んだけど、今思えば男の子の方が断然かわいかったかな。お姉ちゃんには悪いけど。雄大のおかげでたくさんの経験をさせてもらったよ。

私が離婚したときは、まだ雄大は2歳やったね。

尼崎(兵庫)からこっち(京都)に引っ越して、お姉ちゃんと3人生活。お母さんは「仕事をはじめなあかん」って、ハローワークで教えてもらった簿記の専門学校に1年間通ったよね。

それからは会計事務所、ビジネスホテルで経理の仕事を始めたけど、帰ってくるのは夕方。おじいちゃん、おばあちゃんの家に預かってもらったりしたけど、まだ小さい雄大には寂しい思いさせたかなと思ってるよ。

佛教大時代に飛躍。大谷大戦で7回完全試合=2010年4月24日

佛教大時代に飛躍。大谷大戦で7回完全試合=2010年4月24日

今でも忘れられないことがあって、雄大が4歳の時かな。

自転車の後ろに乗せて、保育園から帰るときに突然、泣きだしたよね。たくさん人がいるダイエーの前で。「なんでうちにはお父ちゃんがいいひんの? お父ちゃんほしい」って。

半べそかいて、何言っても泣きやまへん。「ダイエーでお父ちゃん買ってこよか?」って言っても。あの時はほんとに寂しい思いさせてるなって思ったよ。

■砂川公園、駐車場 アザだらけの2人

小学校の時は2人でよくキャッチボールしたね。野球チームからお母さんもグラブ借りてきて。