【高校野球の場合】一切の余地を排除 日大三・小倉監督と中京大中京・高橋監督の誇り
連載第5回では、サイン盗みとの「決別」を望む指導者たちの肉声を紹介します。何度も甲子園に出場する名門を率いる方々から発せられる、強烈なプライド。盗む余地を徹底的につぶす姿勢から、生徒を預かる教育者としての責任感も伝わってきます。(2019年5月14日掲載)
その他野球
★日大三「必要ないと教え、やめさせる」
選抜高校野球が終わったばかりの4月、春季高校野球東京大会。ある試合で試合中に三塁コーチが球審から呼ばれた。
短く言葉をかけられていた。直前にしていた、捕手のサインをのぞき込むような動きを注意された様子だった。
コーチスボックスから身を乗り出し、一生懸命、サインを見定めているように映った。相手チームや審判の目を気にせず、無防備に、あっけらかんとサイン盗みと疑われる動きをする現実がある。
相手チームの監督は、この姿を目の当たりにして抗議する気もうせていた。同大会では、サイン盗みと疑われる場面は複数回あった。
サイン盗みを公言するチームは、ない。ルールで禁止され、フェアプレーに反する意識はある。否定するチームばかりだが、その指導法を聞くと、具体的な答えを持たない監督もいた。
撲滅するには、長きにわたりサイン盗みとは決別してきた指導者の生の声に耳を傾ける必要がある。日大三高の小倉全由監督(62)、中京大中京高の高橋源一郎監督(39)を取材した。
小倉監督うちはそういうの(サイン盗み)は必要ありません。(以前監督を務めていた)関東第一高の時から同じです。
小倉監督は「そういうこと」と表現し「サイン盗み」という用語を使わない。例えば、中学年代でそうした教育をされた生徒にはどう対応するのか?
小倉監督仮にそういう生徒が入ってきたら、三高では必要ないと教えます。やめさせます。
相手チームに疑われる動きがあった時は?
小倉監督防御するやり方は普段から話し合っています。フラッシュサインをブロックサインに切り替えるとか、やり方はあります。それで防げます。そういうことばかりに気を取られずに、野球そのものに集中できる環境を整えたい。それが私の考えです。
小倉監督の野球観には首尾一貫した理念が見える。
小倉監督打席を頻繁に外したり、なかなか打席に入らないなどの行為はしません。マナーの問題です。汚いやじは生徒にはさせません。うちのサイドのスタンドから飛んでいたら、やめるように話します。
言葉の端々に、サイン盗みが入り込むスキがないことを感じる。
入社最初の担当はプロレス。記者31年を通じ、もっとも恐ろしかったのは、まだ25歳の新人記者として、ターバンを巻きサーベルをくわえたタイガージェットシンに追い掛けられたこと。
その後はプロ野球で巨人担当のコメント取りにはじまり、日本ハム、ヤクルト、横浜、西武を担当。総務で2年間、就業規則を学んだ後、スポーツ部で大相撲、サッカー担当。W杯南アフリカ大会では岡田ジャパンを取材。
デスク業務を経て現場記者に復帰して6年目。高校野球の地方大会取材に燃えるアラ還記者。
