【里崎智也の目】相手サインの8割は解けるけど「インチキして結果出してうれしい?」

「サイン盗み」を、元プロ野球選手はどう考えるのか? 連載第9回では、捕手としてロッテやWBC日本代表で活躍した里崎智也氏(日刊スポーツ評論家)に聞きました。(2019年5月18日掲載)

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★走者として活用はOK

「サイン盗み」は全くやったことがありません。高校(鳴門工)、大学(帝京大)だけでなく、プロでもです。僕が知る限り、ロッテでは一切ない。サインを盗む意識がありません。

二塁走者に出たら、相手捕手のサインは見てました。解くのは簡単。8割は分かる。変化球のサインなら、ワンバウンドではじいたら三塁を狙おうとか、アウトコースだから逆方向が多くなるなとか、走者として使います。これはルール上、OK。

でも、打者には伝えません。禁止だからです。

プロでも、盗まれていると感じたことは多々ありました。その時はサインを変えたり、動きだしを遅くしたり。

だけど、いたちごっこ。すぐに対処されます。

盗む相手には「かわいそうだな」と思ってました。インチキしてまで結果を出して、うれしいですか? ゴルフと一緒。球数をごまかしてベストスコアって、喜べますか?

僕は日本一にも、世界一にもなりましたけど、肩書には興味がない。もう過去のことなので。それよりも、肩書を得る行為そのものが大事なんです。後ろめたいことをしてまで、一番価値がある、その行為をやるなんて、もう頑張る意味がありません。

★対策法3選

「高校野球は罰則がないから、バレないようにやる」と言う人もいる。罰則のあるなしは関係ありません。禁止されていないなら、何をやってもいいと思います。

逆に言えば、禁止されているのにやるのはナンセンスです。「勝つために何でもやる」は、きれいに言い換えているだけ。本当は「ルール違反をやらないと勝てない」でしょう。ルール破りを肯定する人は、自分は下手だと言っているのと同じです。

サイン盗みとは異なりますが、捕手のミットをチラ見する打者にも同じことが言える。松井秀喜さんやイチローさん、大谷翔平がやりますか?

どうすれば、サイン盗みをなくせるか。突き詰めれば、3つしかない。

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