ヤクルトの前回リーグ連覇を復刻 29年前も高津監督は輪の中心…受け継がれる伝統
ヤクルトファンの皆さま、リーグ連覇おめでとうございます。チームが前回、連覇したのは1993年。いかに難しいことを成し遂げたかが、よく分かる歳月です。クローザーの高津臣吾が監督となって大仕事をし、厳しくも優しく指導した当時の野村克也監督は、天から見守る…しっかりと伝統が受け継がれていることが、優勝という素晴らしき節目でフォーカスされます。29年前のハイライトを復刻で。(1993年10月16日掲載。所属、年齢などは当時)
プロ野球
ヤクルト時代の幕開けだ! 野村ヤクルトが実力で2年連続3度目の優勝を飾った。マジック(1)対象チームの中日が阪神に敗れてV決定。その2分30秒後の午後9時18分40秒、先発西村が広島相手に完投勝利を決めた。1点を追う4回、ハドラー、笘篠のタイムリーなどで3点を奪って逆転するなど打線も本領発揮。ライバル長嶋巨人を圧倒してセ界制覇を達成した野村監督は、23日からの日本シリーズで「昨年の借りは返す」と王者西武に挑む。
★「感無量というか…」
グラウンドを揺るがせる地鳴りに、吸い寄せられ始まった万歳連呼のビクトリーラン。6度宙に舞った野村監督は何度もうなずきながら、お立ち台で待った。
大歓声で始められない監督インタビュー。スタンドの歓声に手を突き上げるナインの姿に、何度もうなずく指揮官はジッと目頭を押さえた。
「何と言うか……。感無量というか……」。言葉が途切れる。冗舌な男の、ノドが震えた。目頭からこぼれ落ちるものを必死でこらえた。
「花は、もろい。花の命は短い。その花をしっかりとしっかりとした実に育てられたらいいな、という思いだった。選手が気がつかない間に、力をつけ進歩していた」
チームの成長を改めて実感した。予想を超えた充実ぶりだった。
★「絶対に勝て」
ペナント終盤、中日とのマッチレースを圧倒的な力で突き抜けた。最後は7ゲームの大差をつけてのゴールは、今季を象徴していた。
同点打はハドラー。勝ち越し打は笘篠だった。試合前の野村監督はナインにゲキを飛ばしていた。「絶対に勝て。負けて胴上げなんて格好悪いことはせんでくれ」。
わき役が最高の舞台を整えてくれた。4回、逆転ドラマは6番池山で始まる下位打線からの5安打集中だった。巨人のV9以来、セ・リーグの連覇は広島が1回、巨人が2回しか達成していない。混とんとするリーグで「王国」誕生を感じさせる。
今季、長嶋監督が巨人監督として球界に復帰した。「マスコミは巨人、グラウンドはヤクルト」と宣言して迎えたペナントレースで、野村ヤクルトが君臨したのだ。
自らを日陰に咲く「月見草」と自ちょうを込めて言った野村監督が、初めて「ひまわり」長嶋監督より輝いた瞬間だった。
