09年WBC制覇・侍ジャパン原監督【W杯!ノーカット対談】サムライブルー森保監督

2009年にワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一に輝いた巨人原辰徳監督(64)が、「森保ジャパン」にエール-。原監督とサッカー日本代表を率いる森保一監督(54)との対談を、メンバー発表の約4カ月前、7月6日に東京ドームで行いました。日本代表の監督同士にしか分からない選手選考の苦悩や思い、イチローやダルビッシュ有に重ねた戦い方とは…。23日のワールドカップ(W杯)初戦、ドイツ戦前に、ノーカット版でお届けします。

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★選手選考の基準「これだけは世界に負けない」

――W杯まで残り4カ月です。現状で気になっているところは 

森保監督今の選択肢では選手選考が気になるというか、難しいことかなと思います。すべてが難しいことですが、日本代表としてW杯の舞台で戦いたいと思っている選手たちはたくさんいますし、力のある選手がたくさんいます。その中で、決められた人数を選ばないといけないことが大変なことかなと思います。これまでの活動でも選手のW杯への思いはすごく感じています。選べる選手とそうでない選手にしなければいけないのは難しいですね。

森保一(もりやす・はじめ)1968年(昭43)8月23日、静岡県掛川市生まれ、長崎県長崎市育ち。現役時代のポジションはボランチ。長崎日大高から87年にマツダ入り。92年にオフト監督の日本代表に初選出。93年にドーハの悲劇を経験。04年に現役引退し広島のコーチに就任。12年に監督となり、J1を3度制覇。17年10月、東京五輪を目指す日本代表の監督に就任。18年には西野ジャパンのコーチとしてW杯ロシア大会を経験し、大会後の7月に五輪代表との兼任でA代表監督に就任した。東京五輪は4位。A代表は7月の東アジアE-1選手権で優勝し初タイトル獲得。愛称は「ポイチ」。国際Aマッチ35試合1ゴール。174センチ、68キロ。

――原監督は09年WBCで世界一に。選手選考は苦慮したか

原監督サッカーと野球の違いでいくならば、サッカーはやっぱり、(出場)国数がめちゃくちゃ多いよね。サッカーを国技のようにしている国が、野球に比べて、そうね、2、30倍あるのではないでしょうかね? 野球の場合はある程度限られたライバルチームが3、4つぐらい。そこで、「何が、この日本代表チームに誇れるだろう?」というのをまず主眼に置くでしょうね。09年の時にはスピード、それと団結力、チーム力。これだけは世界の名だたるチームに負けない、ということでスタートしましたね。

原辰徳(はら・たつのり)1958年(昭33)7月22日、福岡県生まれ。東海大相模で甲子園4度出場。東海大を経て80年ドラフト1位で巨人入団。1年目に22本塁打で新人王。83年打点王、MVP。ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞2度。95年に引退し、99年にコーチで巨人復帰。02年監督就任し、日本一。03年退任も06年復帰し、2度のリーグ3連覇。15年に退任し、19年に3度目の監督就任。22年から新たに3年契約を結び、今年で通算16年目。リーグ優勝9回、日本一3回。09年WBCでは日本代表を率いて世界一。02、09、12年正力松太郎賞。18年野球殿堂入り。180センチ、86キロ。右投げ右打ち。

――バイプレーヤーについて伺いますが、WBCでは亀井(善行)や川崎(宗則)を選んだ

原監督片岡(保幸)もそうだね。

――和を重んじる選手を選出した

原監督もちろん、イチローという選手は1番に決めたといえば決めた。その次にと言われた場合には、バイプレーヤー、サブプレーヤーを決めた。そこから、今度はレギュラーを決めていった。ただ、左投手あるいは右投手という部分で内川(聖一)という選手もそこに入れたんで、レギュラーは10人、ないしDHで11人。そして4、5人のサブプレーヤーの人たち。そういう、役割を持たせたチーム編成にしましたね。

森保監督とても参考になります。

原監督まあ誰とこのメンバーで成功するか、あるいは、勝つことが大目的ではあるが、そのためにどういう特徴を持ったチームにするかというのは必要ですよね?

森保監督はい、そうですね。はい。

★壁を破る ベスト8の層に入る

原監督だから、そこが僕は今回、代表選考は監督がいちばん頭を痛める。あるいは、いろんなものを描きながら、4年間での中で、いろっんな…ページ数にするならば、まあ、何ページあるかわからない。その中で、簡素化したページを作るのがメンバー選考でしょ。そこはね、非常に、決めた時点でほとんど戦い方、あるいは強豪国と言われるグループ、その勝てる風景というのは、絶対に描いているはず。それでなければ、メンバー構成は難しいでしょ?

森保監督はい。そうですね。今まで積み上げてきたものも、これまでの日本サッカーの壁を破る、(W杯)ベスト8の層に入ると考えてやってきました。そのサッカーの積み上げを少しでもレベルの高いものにして、はい、W杯に臨もうと思っています。

試合前練習する巨人の選手たちを見ながら言葉を交わす原監督と森保監督。2人だけの世界=2022年7月6日

試合前練習する巨人の選手たちを見ながら言葉を交わす原監督と森保監督。2人だけの世界=2022年7月6日

原監督間違いなく、僕は1サッカーファンとしてね、(選手の)レベルが上がっているね。新しい世代も素晴らしい選手がね。我々世代も名選手がもちろんいたが、野球もそうだが、選手のレベルは非常に上がっているなあという気がしますね。

森保監督めちゃくちゃ上がっていますね。選手から自信をもらえるというか。

原監督うんうん。

森保監督国際大会で戦うときに、日本だけの価値観でなく、世界の舞台で戦っている選手が「俺たちは世界と戦える」と自信に満ちあふれています。普段の活動から。監督が自信をもたらさないといけないところは、いろんなサポートの仕方がありますが。もともと選手たちが、俺たちがネイマールと戦っても、ベルギーのアザールと戦っても、スペインもドイツも有数の選手がいますが、普通の、普段のリーグ戦からやっている選手たちなので。そこは選手から、逆に自信をもらっているというか。持っている力を普通に出して、原監督が言った通り、団結力を持てば自然と結果がついてくると自然に思わせてもらっています。

原監督本当に楽しみだよね。