【国公立大進撃の秘密〈1〉】「陸の孤島」から神宮で2勝…鹿屋体大野球部の青い風
6月の神宮に、ブルーの風が吹きました。九州南部地区代表として全日本大学選手権に初出場した鹿屋体大が躍進しました。国立大としては、大会史上最多タイの2勝を挙げて8強入り。突如として大学球界に吹き込んだ新風、日本唯一の国立体育大学の正体とは。
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「鉄道では行けない市」
熱戦の翌日。飛行機とバスを乗り継いで大学キャンパスに戻った時には、深夜になっていた。快進撃を生んだ「虎の穴」だ。東京での時間がまぼろしだったかのように、いつもの静かな空気が流れていた。
大隅半島にある鹿屋市は、鹿児島市から見て錦江湾をはさんだ東の対岸。鹿児島空港からはバスで2時間近く要する。
新幹線のターミナルである、鹿児島中央駅からの最短アクセスはフェリーが必要になる。バスで30分の鴨池港へ。桜島のすぐ南側を横切る垂水フェリーに揺られて40分。垂水港からまたバスで30分―。
鹿屋は「鉄道では行けない市」としても有名で、選手たちが「陸の孤島です」と笑顔で紹介する理由も分かった。そこに、日本でただ1つの「国立」の体育系大学が設置されている。
孫子の兵法から「無形の陣形」
彼らは屈託がなかった。東京のど真ん中で心から野球を楽しんでいるように見えた。白鷗大との準々決勝。2点を追う9回の攻撃も2死と追い詰められた。「ここから、ここから!」。三塁側の鹿屋体大ベンチはますます盛り上がっていた。
打席には主将で4番を打つ原俊太内野手(4年=済々黌)。仲間のかけ声に軽く口元を引き締めた主砲は、直球を「無心で」鋭く振り抜いた。ぐんぐん伸びた打球は左翼席に飛び込んだ。
さらにもう1点を返して1点差としたが、あと少し届かなかった。
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