登場しただけで野球ファンの涙腺を決壊させた、9月14日の夜/ロングインタビュー 

阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた守護神岩崎優投手(32)が、日刊スポーツのインタビューに応じ、獅子奮迅の活躍をみせた23年のレギュラーシーズンを振り返りました。開幕はセットアッパーとして始まり、5月から抑えに配置転換。6月末から8月末にかけて、自己最長となる23試合連続無失点と抜群の安定感をみせつけました。プロ10年目で成し遂げた悲願の初優勝。MVP級の奮闘をみせた左腕の胸の内に迫りました。

プロ野球

◆岩崎優(いわざき・すぐる)1991年(平3)6月19日、清水市(現静岡市清水区)生まれ。清水四中で軟式野球を始め、清水東高から国士舘大に進学。大学4年間で通算10勝8敗。13年ドラフト6位で阪神に入団。17年に先発からリリーフに転向し、同年から7年連続で40試合以上に登板。22年には球団左腕で歴代最多28セーブを挙げ、今季更新中。185センチ、89キロ。左投げ左打ち。

「思っていた形とは」

――守護神としてリーグ制覇に大きく貢献したシーズンになった。10年目で初優勝は格別だったか

やっぱり勝てていることはうれしいですよね。うれしいというか、たくさんの人が喜んでくれますし、裏方さんとかファンの方もそうですけど、そういう点ではやりがいを感じたシーズンになりました。

――2年前は僅差で優勝を逃して、秋の契約更改で「あの時の自分の1つの負けがなければ」と話していたが、今年になって生きているところは

終わってしまったことはどうにもできないので、そういう意味では今年負けが2回つきましたけど、切り替えてというか、受け入れてというか、そうやってうまく次につなげていくようにはしましたね。

2021年12月17日、甲子園

2021年12月17日、甲子園

――ポジション含めシーズン前に想定していた通りか、そうじゃなかったか

ポジションはセットアッパーから始まってますし、そこで1年間やるつもりでいたので、そういう意味では思っていた形とは違いますね。

――今年取り組んでいることで、手応えを感じていることは

持っている球種の中で、緩急をつけたりとか、打者の反応を見ながらやったりとか、テンポをちょっと変えたりだとか、今年は途中からですけど、変えた部分ではあります。

――きっかけは

特にないんですけど、持っていた引き出しの中で1回やってみようかなという形でやった感じです。

――長打も例年に比べて少ない

長打はいつも気を付けている部分ではあるので、できるだけそうならないような配球だったり、ボールの選択をしているので。

2023年8月9日、東京ドーム

2023年8月9日、東京ドーム

そういう点ではホームラン2発はありましたけど、トータルではいい選択ができているのではないかなと思います。

「それは去年ぐらいから」

――ボールの強さが戻ってきた感じに見えるが、感覚は

キャンプはストレートを中心に投げ込んだんですけど、その中でツーシームを投げたり、練習したりしていたんですけど、オープン戦とかでしっかり腕を振るというか、その感覚をつかんだというか思い出したというか、そういうのはあったと思います。

――キャリアでは初めて抹消されることなく完走できそう。コンディション管理などで変えたことは

コンディションはいいと思います。それはトレーナーの力を借りたりとかはもちろんありますけど、自分で取り組む、ストレッチだとかインナーとかの肩回りのトレーニングとかを増やして、今年はやっています。それはこういうコンディションにつながっているかもしれないです。

――ブルペンを引っ張っていくぞという自覚は

それは去年ぐらいから思ってはいますね。

――若い投手が多い中で、どういうことを意識したか

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