【出待ち】「シロウ・マブチ」は世界の共通言語 野球の技術追求に国境なし/〈3〉

台湾で行われた野球のU18W杯で、高校ジャパンが初の世界一に輝きました。現地で取材した日刊スポーツ新聞社の東西アマチュア野球キャップ、柏原誠記者と保坂恭子記者が、さまざまな角度からリポートする連載「台湾的世界棒球見聞録」を全8回でお届けします。第3回は「名将・馬淵監督の国際交流」。

高校野球

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コールド負けのベネズエラ監督

室内練習場から、日本の選手たちの打撃音が響いてきた。

廊下にも聞こえてくる元気な声。9月5日の1次ラウンド最終戦となった、オランダ戦の試合前。記者が室内練習場の中に入ることはできなかったが、少しでもチームの雰囲気を感じようと向かった。

同じように、室内練習場の出入り口前で待っている人たちがいた。

Tシャツの胸には「Venezuela」の文字。U18ベネズエラ代表チームの監督とコーチ、選手の合計3人だった。

ベネズエラとは同4日に対戦し、10―0の7回コールドで勝利していた。東恩納蒼投手(沖縄尚学)が先発し4回無失点に抑えるなど、3投手の継投で0封リレーだった。

もう対戦が終わったベネズエラチームがなぜいるんだろう…? 不思議に思っていると、室内練習場から出てきた馬淵史郎監督(67)を呼び止めた。

まさかの記念撮影がスタート。肩を組んだりして、全員が2ショットを撮影した。台湾でも知名度が高い馬淵監督は、ベネズエラでも人気があるんだな~と勝手に納得。満足して帰るかと思いきや、同行している通訳を呼び、真剣な表情で話しだした。

「日本は、国際大会に出場するといつも上位に入っています。それはなぜだと思いますか?」

ベネズエラの監督がスペイン語で質問し、ベネズエラチームの通訳が中国語に翻訳。それをさらに日本チームの通訳が日本語に訳して馬淵監督に伝えた。時間はかかるが、相手の監督の表情は真剣そのものだった。

馬淵監督がまず「日本には、高校球児が12万8000人います」と説明した。

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