【潰瘍性大腸炎→右肩脱臼】中日・田中幹也「立浪監督秘蔵っ子」の帰還/連載〈38〉

中日の田中幹也内野手(22)が来季2年目の1軍デビューに燃えています。昨秋亜大からドラフト6位で入団。身長166センチながら今春キャンプでシュアな打撃と守備、走塁で猛アピールし、開幕1軍はほぼ当確でした。しかし、3月中旬のオープン戦で右肩を脱臼。手術を受けて約6カ月をリハビリに費やしました。2軍戦終盤の9月に戦列復帰した右の巧打者は、立浪監督と約束した1軍100試合出場を目標に掲げ、巻き返しを期しています。

プロ野球

◆田中幹也(たなか・みきや)2000年(平12)11月28日生まれ、神奈川県出身。東海大菅生での2年夏、西東京大会決勝で清宮幸太郎(現日本ハム)の早実を撃破。甲子園ではベスト4に進んだ。亜大では1年春から正二塁手を獲得。東都のライバル中大・森下翔太(現阪神)とともに日米大学野球の日本代表に選ばれた。22年ドラフト6位で中日入団。今季推定年俸は720万円。166センチ、68キロ。右投げ右打ち。

潰瘍性大腸炎→右肩脱臼

悪夢は突然、訪れた。開幕1軍をほぼ手中にしていた3月19日の楽天とのオープン戦(バンテリンドーム)。「2番遊撃」でスタメン出場した田中は5回に四球で出塁した。だが、けん制で一塁に頭から帰塁した際、右肩を痛めて途中交代。脱臼の診断で戦線離脱し、その後手術も受けて約6カ月に及ぶリハビリ生活を余儀なくされた。

――帰塁した時の感覚は

田中やっちゃった…と思いました。直後は痛みはあまり感じなかったです。次の日ですね。痛みが出たのは。

オープン戦で、帰塁時に負傷し交代=2023年3月19日

オープン戦で、帰塁時に負傷し交代=2023年3月19日

――肩の状態は

田中それなりにいい方だと思います。今は40メートルくらいの送球をして、ショートからの送球も少しずつできるようになっているんで。順調だと思います。

――6、7割ぐらい

田中そうですね。(今後は)距離というよりは(送球の)強さを(求めたい)。

――秋季練習、秋季キャンプでやりたいことは

田中実戦的なことがこの1年できなかったので、シート打撃でもなんでも、人よりも多く立ちたい。試合の経験値というのは、今年1年間は何もなかった。体もしっかりとつくりたいなと思ってます。

中日から指名あいさつを受け記念撮影=2022年10月

中日から指名あいさつを受け記念撮影=2022年10月

――ウエートや走り込み、体幹

田中全部ですね。体の中がしっかり詰まってくるようにというか。数字的に(サイズを)大きくするのもそうですけど、中をしっかり鍛えて、けがをしないようにしていきたいです。

「プロは無理」からのドラ6

プロ入り前、大きな壁にぶち当たった。亜大3年時に国指定難病の潰瘍性大腸炎を発症。大腸の全摘手術を受け、約3カ月の入院を経てリーグ戦に復帰した。同じ病で苦しむ人に希望を与えたい夢も持つ。

――大腸の病気はスズメバチに刺されて分かった?

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