【由規インタビューin台湾】「星巴克」で、楽天モンキーズを退団直後に再会/〈5〉

台湾で行われた野球のU18W杯で、高校ジャパンが初の世界一に輝きました。現地で取材した日刊スポーツ新聞社の東西アマチュア野球キャップ、柏原誠記者と保坂恭子記者が、さまざまな角度からリポートする連載「台湾的世界棒球見聞録」を全8回でお届けします。第5回は「由規投手に台湾の星巴克でインタビュー」。

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◆由規(よしのり)本名佐藤由規。1989年(平元)12月5日、仙台市生まれ。仙台育英では2年夏から3季連続甲子園出場。2年夏の宮城大会決勝は東北との引き分け再試合を制し、2試合完投。3年夏に甲子園で最速156キロ。日米親善試合では157キロを記録。07年高校生ドラフト1巡目でヤクルトに入団。10年8月に当時日本人最速の161キロを出した。11年には先発投手部門のファン投票1位でオールスターに出場。同年から右肩痛に苦しむ。18年にヤクルト退団。育成選手として楽天に入団し、19年に支配下選手登録された。20年に退団。21年からはBC・埼玉でプレーした。NPB通算91試合に登板し、32勝36敗、防御率3・66。右投げ左打ち。

桃園駅で待ち合わせ

台北駅から日本の新幹線とそっくりの「高鉄」に乗ること約30分。待ち合わせ場所の桃園駅に着いた。

桃園空港が近く、アウトレットモールが隣接しているので乗降客は多い。9月上旬、南国らしいスコールのような雨が上がった直後で、立っているだけで汗がふきだす蒸し暑さ。アウトレットをちょっと見てみようかな、なんて思っていたけど、とてもそんな余裕はない。

駅の出口がたくさんあるから、目印になりやすそうなケンタッキーの前で待ってみた。カラフルなデザインが目を引く黒いTシャツ姿で、元楽天・由規投手(33)が、速足で来てくれた。

異国の地で、知っている人に会う安心感! 駅に隣接している星巴克(スターバックス)で話すことにした。

楽天モンキーズの本拠地、楽天桃園野球場は、ここからバスで約15分の距離。2カ月を過ごした地で、駅にあるラーメン屋さん一風堂の前を通りながら「ここ、日本よりちょっと高いけど味はほぼ同じなんです。何回も来ましたよ」と言う。

〝楽天モンキーズの由規投手〟にインタビューするつもりだった。

今年は独立リーグのBC・埼玉で投手コーチ兼任でプレー。7月から台湾リーグへ挑戦していた。しかし8月31日に退団のニュースが流れた。

その直後にもかかわらず、インタビューを受けてくれたのは、人柄があってこそ。〝楽天モンキーズを退団した由規投手〟として答えてくれた。

「複雑に考えている時間もなかったんです」

――今、体の状態はどうですか

契約が終わったじゃないですか。一気に疲れがきてるんですよ。本当に。

――台湾での生活はどうでしたか

全然苦ではなくて、住めましたね。(楽天の)選手たちがご飯に連れて行ってくれたりして、ありがたいです。

20年ぐらい前に1回、野球で来ているんです。(仙台西部)シニアの時に、東北選抜のチームで台湾にきて試合してるんです。細かく覚えてはないんですけど(笑い)

――台湾に来る決断は、難しくなかったですか?

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