【令和の配球考】「結果論」「正解はない」の枕詞に調査報道のスタイルで挑む/連載1
ベテラン記者と記録のスペシャリストがタッグを組み、難解なテーマ「配球論」にチャレンジしました。結果論で片付けられない、勝敗に直結するファクター。真っ向勝負の6回連載でお楽しみください。
プロ野球
プロ野球の勝敗の原因を追究する際、しばしば話題になるのが捕手の配球だろう。
野球という競技の最大の見どころは、試合を決める一打を巡っての投打の攻防。その試合の流れが自軍に有利に傾くよう、投手をバックアップするのが捕手の配球になる。
名捕手と言われ、プロ野球4球団で監督を務めた野村克也氏(故人)は「優勝チームに名捕手あり」と話し、捕手の重要性を説いていた。
捕手に必要な技術は多岐にわたる。その中で、重要度が高いとされながら評価として賛否両論分かれるのが配球になる。
「配球は結果論」や「配球に正解はない」と言われるのは、配球の能力を示す明確な数字がないからだろう。この難解な配球の「善しあし」を、さまざまな角度からの記録と照らし合わせ、どこまで追究できるかチャレンジしてみよう!
はじめに断っておくが、捕手の配球の優劣「だけ」を明確に示す記録は存在しない。そのため、どの記録が配球による影響が及びやすいのかを考えてみる。
最初は単純に、チームのトータル防御率と各チームの捕手として出場数の多かった2選手の防御率と被打率を比較をしてみよう。
頻繁にバッテリーを組む投手によって違いはあるが、同じチーム内での比較。捕手の守備力で大きなウエートを占める、配球面での優劣を比べるための参考になるのではないか。
■セ・リーグ
球団 | 選 手 | 防御率 | 被打率 |
---|---|---|---|
阪神 | 坂本誠志郎 | 2.26 | .217 |
阪神 | 梅野隆太郎 | 3.19 | .249 |
阪神 | <チーム> | 2.66 | .232 |
広島 | 坂倉 将吾 | 3.16 | .248 |
広島 | 会沢 翼 | 2・86 | .244 |
広島 | <チーム> | 3.20 | .249 |
DeNA | 山本 祐大 | 2.96 | .260 |
DeNA | 伊藤 光 | 3.07 | .236 |
DeNA | <チーム> | 3.16 | .250 |
巨人 | 大城 卓三 | 3.39 | .238 |
巨人 | 岸田 行倫 | 3.03 | .231 |
巨人 | <チーム> | 3.39 | .238 |
ヤクルト | 中村 悠平 | 3.46 | .252 |
ヤクルト | 内山 壮真 | 4.69 | .269 |
ヤクルト | <チーム> | 3.66 | .255 |
中日 | 木下 拓哉 | 2.68 | .234 |
中日 | 宇佐見真吾 | 3.88 | .243 |
中日 | <チーム> | 3.08 | .238 |
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