【令和の配球考】銘柄たちを上回り、最も痛恨の1発を食らわなかった捕手は…/連載3

ベテラン記者と記録のスペシャリストがタッグを組み、難解なテーマ「配球論」にチャレンジしました。結果論で片付けられない、勝敗に直結するファクター。真っ向勝負の6回連載でお楽しみください。第3回は痛恨の本塁打を食らう確率を徹底比較します。

プロ野球

完璧に近いスイングじゃないと

ここまでは、出場したイニングでの防御率をメインに、同じチーム内での比較や、球場別の比較を行うことで捕手の「配球力」を考察してきた。

その中には被打率も含まれていたが、今回は「本塁打」にテーマを絞って検証してみよう。

ホームランは、ヒットより完璧に近いスイングをしなければ打てない。ここでも投手の能力が大きく左右することに異論はない。しかし配球は「相手打者の狙いを外す」や「打撃フォームを崩す」など、打者に対して完璧に打たせないための役割を担っている。

簡単なところから…捕手別の被本塁打率(1本塁打にするために何打数が必要か表した数字)をチームの平均と比べてみよう。

※捕手はこれまで通り、チームで一番出場イニングが多かった選手

■セ・リーグ


球団被本塁打率選手被本塁打率
阪神54.02坂本53.83
広島43.66坂倉45.38
DeNA40.89山本39.15
巨人36.42大城38.85
ヤクルト33.38中村32.80
中日62.42木下70.50

■パ・リーグ


球団被本塁打率選手被本塁打率
オリ65.26若月70.67
ロッテ47.42田村37.98
ソフト42.32甲斐44.58
楽天47.36太田51.69
西武48.61古賀49.73
ハム44.81伏見40.71

被本塁打率がチーム平均より優れているのは、

・広島坂倉

・巨人大城

・中日木下

・オリックス若月

・ソフトバンク甲斐

・楽天太田

・西武古賀

チーム内の防御率との比較で優れていた阪神坂本、ヤクルト中村、ロッテ田村の3捕手は、チームの被本塁打率よりも数字が悪かった。

ここで、ひとつの疑問が浮かんでくる。

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