【令和の配球考】「結果論」「正解はない」で片付ける捕手に、名選手はいない/連載6

ベテラン記者と記録のスペシャリストがタッグを組み、難解なテーマ「配球論」にチャレンジしました。結果論で片付けられない、勝敗に直結するファクター。真っ向勝負の6回連載でお楽しみください。最終回は得点圏での被打率と与死球率から深掘りします。

プロ野球

「得点圏での被打率」に着目

いろいろな角度から「配球力」が関係していそうな記録を調べ、考察してきた。最後に得点圏被打率について、考えてみよう。

ゲーム序盤では「意識させるため」に内角を攻め、本塁打や長打で失点するケースはある。それを「仕方ない」と考えてもいいのだろうが「できれば点はやりたくない」が本音だろう。

特に得点圏に走者がいれば、点を与えたくない心理が大きくなるのは当たり前。そういった背景から考えると、被打率よりも「得点圏での被打率」の方が、配球力の影響を受けている確率は高い。

投手力の違いを少なくするため、今回もチーム平均と捕手別の平均で分けて、得点圏での被打率を比較してみよう。

※()内はチーム平均との差

■セ・リーグ


選手チーム個人
坂本(神).231.197△.034
坂倉(広).260.258△.002
山本(De).250.257▼.007
大城(巨).229.226△.003
中村(ヤ).266.251△.015
木下(中).256.240△.016

■パ・リーグ


選手チーム個人
若月(オ).232.221△.011
田村(ロ).267.256△.011
甲斐(ソ).255.251△.004
太田(楽).256.260▼.004
古賀(西).226.233▼.007
伏見(日).248.253▼.005

歴然 坂本と梅野の差

セ・リーグでは山本以外の捕手は、すべてチーム平均の得点圏被打率より、低く抑えている。特に優秀なのが坂本で、3分4厘もチーム平均よりも低い。

阪神は坂本と梅野を併用して起用しているが、ここまでの考察通りに、その差は歴然としている。セの捕手の中では出場イニングが少なく、数値が偏りやすい面があるとはいえ、坂本の数字はおしなべてチーム平均より優れている。

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