【ノーカット対談】佐野恵太から牧秀悟へ―DeNAの主将として【#申し送り事項】

前主将から新主将への「#申し送り事項」。DeNA佐野恵太外野手(29)と牧秀悟内野手(25)の「主将対談」が実現しました。4年間務めた佐野に代わって今季から牧がキャプテンを引き継ぎました。つらいとき、あるいはうまくいっている時、ふざけたい時―。そして託した優勝への強い思い。佐野から牧へ、惜しみなく伝えた4年間のキャプテンとしての生き様とは。20分間のフルバージョンをみっちりどうぞ。

プロ野球

◆佐野恵太(さの・けいた)1994年11月28日、岡山市生まれ。小1から野球を始め、中学時代はヤングリーグ倉敷ビガーズで投手だった。広陵―明大を経て16年ドラフト9位でDeNA入団。17年ヤクルトとの開幕戦で代打でプロ初出場。18年6月1日ソフトバンク戦で千賀からプロ初本塁打。20年に3割2分8厘で首位打者のタイトルを獲得した。22年は最多安打。20年、22年にベストナイン。23年は141試合に出場し、2割6分4厘、13本塁打、65打点。プロ通算703試合で2割9分2厘、82本塁打、326打点。元ダイエーの佐々木誠氏は伯父にあたる。178センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸1億5500万円。

◆牧秀悟(まき・しゅうご)1998年(平10)4月21日、長野県中野市生まれ。松本第一では甲子園出場なし。中大では3年春に首位打者、同秋にMVP。ベストナイン4度。20年ドラフト2位でDeNA入団。21年は8月25日阪神戦で新人史上初のサイクル安打。シーズンでは新人史上4人目の「打率3割、20本塁打」をクリア。昨季は打率2割9分3厘、29本塁打、103打点。プロ通算415試合で打率2割9分9厘、75本塁打、261打点。178センチ、93キロ。右投げ右打ち。23年12月にプロ4年目史上最高額となる2億3000万円で契約更改。

【キャプテン申し送り事項】

①つらい時、しんどい時…同級生を頼りましょう

②うまくいっている時…何もしなくても大丈夫。負けが続いたときに出番が来ます

③おふざけは…状況を確認してからにしましょう

④弱音を吐きたい時…家族など、腹を割って話せる人を頼りましょう。監督も助けてくれるはずです

⑤年下、年上選手との接し方は…今のままで大丈夫です

⑥牧が言えばみんなついてきてくれるはずです。主将としての優勝を託します

佐野から牧へ。言葉の端々に主将への熱い思いがにじんだ。

【申し送り事項①】辛い時、しんどい時

佐野同級生の存在は大きいと思います。僕も大きかったですし、同期とか同級生とか。

特に牧の同級生だったら1軍に去年あたりから、みんな頭角を現して1軍で一緒にプレーしたり、行動をともにする時間が増えている。そういったのは、牧的にも助かると思います。同級生がいてくれたりするのは。

佐野自身、幾度となく助けてもらった経験がある。

佐野すごく僕は助かりました。あんまり僕、同級生が多くなかったですけど、狩野(行寿)とかが、広報とかで帯同してくれてたりして。

居てくれるだけで、安心するじゃないですけど、それこそ浜口が言葉を交わさなくても、いてくれるだけで安心するとか。それこそ京田も途中から来てくれたりしましたしね。

牧を筆頭に、98年世代は山本、入江、知野、石川らの他にも新加入の中川颯、堀岡、九鬼ら一大勢力となっている。

それこそ、裏方も全部合わせて(98年世代は)12人いるので。自分も4年目で4年間付き合ってきて、すごく野球に対しても熱いですし。

意見もお互い言いあえるので、困ったときにはすごく相談しやすいなという存在の同級生だと思います。

【申し送り事項②】うまくいっている時

佐野牧の場合は、プロ入り前にキャプテンやってたっけ?

大学でやってました。

佐野だよね。キャプテンやってますし、すでにそういう経験をしてると思うんですけど。

僕、キャプテンやるのは人生でもほぼ初めてだったので、探り探りでしたけど…。

うまくいっている時って、あんまりすることがないって感じでした。どっちかっていうと、負けが込んだりとか。チーム内で向かってる方向がバラバラになっちゃったりとか、そういう時とかの方が。

指導者と選手の間に入るとか、先輩と後輩の間に入るって感じですかね。だから勝ってる時とか、チームの状態がいい時とかは、ほんとにあんまりすることがない。負けてる時の方が大変だったり、出番が多かったりとかっていう経験でした。

牧にとっては勝ちが続いているときの佐野の印象より、負けが続いているときの立ち居振る舞いが色濃く脳裏に残っていた。

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