【6,944文字】レイズ上沢直之インタビュー 球友との思い出が支える三十路の挑戦

日本ハムからポスティングシステムを利用して、レイズとマイナー契約を結んだ上沢直之投手(30)が、インタビューに応じました。11年ドラフト同期入団で、同学年の日本ハム松本剛内野手(30)ロッテ石川慎吾外野手(30)ソフトバンク近藤健介外野手(30)への思いを明かしました。2月6日には30歳の誕生日を迎えた右腕。メジャー契約を目指して〝大航海〟を始める30代の抱負、かつてのチームメート、1学年後輩のドジャース大谷翔平投手(29)についても語りました。

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◆上沢直之(うわさわ・なおゆき)1994年(平6)2月6日、千葉県松戸市生まれ。専大松戸では甲子園出場なし。11年ドラフト6位で日本ハム入団。3年目の14年、4月2日ソフトバンク戦で初登板初勝利。18年に日米野球で日本代表選出。球宴出場3度。プロ通算173試合で70勝62敗、防御率3・19。187センチ、88キロ。右投げ右打ち。

【松本剛へ】「なんかでも頼りにはなりますよ、やっぱり」

11年ドラフト2位の松本剛と同6位の上沢。同期でただ1人、12年間一緒にプレーしてきた盟友との思い出で、一番に思い出すのは19年シーズンだ。

上沢僕が2019年に左膝をケガした時に、一緒にリハビリしていたんで。剛も右肘をやっていたのかな(19年7月に手術)。一緒にリハビリした時のことを、すごく覚えていますね。

お互いいろいろ、あーでもないこーでもないと言いながらリハビリして(笑い)。『頑張らないと、やばいな』みたいな話をしていました。

11年ドラフトで日本ハムが1位指名した菅野智之投手は入団せず、同期メンバーの最上位指名が松本剛。ただ、そこで序列ができる4人ではなかった。

上沢あ、順位のことは全く言わないですね。ただ、「甲子園に出ている、出ていない」はマジでうるさかったです、あいつら。(指名)順位のことに関しては一切そういう話したことないですね。甲子園のことに関しては、奴らは言ってきますね(笑い)。

1軍定着は松本剛が一番遅かった。苦しんでいた時期も見ていた上沢は、22年シーズンで首位打者を獲得した松本剛の活躍を、どう見ていたのだろうか。

上沢本当に良かったなと思います。1軍にいる時も難しい場面の代打だったり、やっぱいろいろ結構サブ的な感じで出ていた時に、急にもらったチャンスでなかなか結果を出すのは難しかったと思うので。

でも、ファームに行ってもずっと結果を残して、腐らず。なかなか1軍に上がらなくても腐らず、ずっと練習していた。そういう姿勢は本当に僕もいろんな人から聞いていたし、ちゃんとやっているっていうのは知っていたんで、本当にうれしかったっすね。

22年シーズンのオフの同期会では、特別な祝福もあったそうだ。

上沢なんか僕は表だって「おめでとう」ぐらいしか言ってないですけど(笑い)。

近藤なんか、やっぱ買っていってましたね。そういうことを〝できる男〟なので。慎吾も、してないですね。僕と慎吾は何もしてないです(笑い)。おめでとうしか言ってないですね。ただ、近藤は用意していました。

1月にエスコンフィールドで行われた移籍会見では、沖縄・伊江島から松本剛が駆けつけてくれた。少しだけ、顔を合わせて話すことができたという。

上沢本当に、あれですよ。「島、行ってたっしょ」みたいな。「時間がない中、来てくれてありがとう」っていうのは伝えましたね。

ほんとにありがたかったし、やっぱ同級生で、まだ一緒に野球できているっていうか、ずっと続けているっていうのは、すごくうれしかったし、同じチームでやっぱ一緒になれてよかったなと思います。

松本剛を、ひと言で表現するなら?

上沢剛は…剛は「ちゃんとしてる風の、ふざけてる人」です。(印象と)逆っす。ちゃんとしてる風です、あいつは。実は、ふざけているし…なんだろうな、なんかでも頼りにはなりますよ、やっぱり。

ま、困ったら剛と近藤になんかやらしときゃいいかなっていうか(笑い)。剛と近藤にぶん投げれば、僕と慎吾はなんとかなるかなって感じなんですよね。

慎吾と僕は、だいたい用意してもらって文句言うタイプです。いろいろ計画を立ててもらって文句を言うタイプなんで(笑い)。

謙虚で優しい人柄がにじむインタビューになりました。素晴らしき同期に、1歳下の偉大な後輩。節目を迎えた自分自分も…有料会員登録で、飾らない語りをお楽しみください。

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