【新井ズム】地獄が代名詞だった広島キャンプの変化 厳しさの新たな形/連載〈2〉

就任2年目となる広島新井貴浩監督(47)は選手を責めることも、否定することもしない。常に認める〝肯定力〟を持って、就任1年目から2位躍進に導いた。SNSやインターネットでは否定的な言葉や思考が目に入る時代だからこそきっと、超が付くほどのポジティブ思考の新井監督イズムには特別な神通力があるに違いない。カープ取材歴17年目の前原淳記者が「新井ズム」に迫ります。

プロ野球

◆新井貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日、広島県生まれ。広島工―駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。05年に球団最長タイの6戦連続本塁打。07年オフに阪神へFA移籍。08年北京五輪日本代表。同年オフから12年まで労組プロ野球選手会会長。14年オフ阪神に自由契約を申し入れ、広島に復帰。通算2000安打を達成した16年に打率3割、101打点でリーグMVP。05年本塁打王、11年打点王。ベストナイン2度(05、16年)、ゴールデングラブ賞1度(08年)。18年限りで現役引退した。20年オフに広島監督に就任し、前年5位から2位に引き上げた。現役時代は189センチ、102キロ。右投げ右打ち。

選手からの要望

広島キャンプでアピールした若手のホープたち、左から田村、二俣、中村奨

広島キャンプでアピールした若手のホープたち、左から田村、二俣、中村奨

まだ薄暗い朝7時、大きなリュックを背に、広島の若手選手が次々に天福球場へと入っていった。

2月13日まで、宮崎・日南市で行われた広島春季キャンプの朝は早かった。

今春の1軍キャンプは、まるで秋季キャンプのようだった。

手術明けの秋山翔吾は2軍キャンプでスタートし、会沢翼や松山竜平といったベテランに上本崇司、野間峻祥といった中堅組も、第2クールからは2軍キャンプに合流。

一定の自己流調整を許可された。

第2クール初日の日本選手の平均年齢は、昨年のキャンプイン時の平均年齢26・3歳(日本人選手38選手)から24・1歳(日本人選手39選手)と大きく若返った。

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