【新井ズム】開幕直後に訪れた危機…新井貴浩が書き直した勝利への設計図/連載〈3〉

広島新井貴浩監督(47)は今季、開幕早々に昨年末から練ってきたプランが崩れた。開幕2戦目を終えた3月30日、新外国人のマット・レイノルズ内野手(33)が左肩痛を訴え、ジェイク・シャイナー内野手(28)が右手中指剝離骨折。翌31日からそろって離脱することが決まった。桜前線到来前に、新井監督は設計図の見直しを迫られた。

プロ野球

◆新井貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日、広島県生まれ。広島工―駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。05年に球団最長タイの6戦連続本塁打。07年オフに阪神へFA移籍。08年北京五輪日本代表。同年オフから12年まで労組プロ野球選手会会長。14年オフ阪神に自由契約を申し入れ、広島に復帰。通算2000安打を達成した16年に打率3割、101打点でリーグMVP。05年本塁打王、11年打点王。ベストナイン2度(05、16年)、ゴールデングラブ賞1度(08年)。18年限りで現役引退した。20年オフに広島監督に就任し、前年5位から2位に引き上げた。現役時代は189センチ、102キロ。右投げ右打ち。

遠のく理想…指揮官が明確にしたもの

オープン戦で思うような結果が出なかったとはいえ、新外国人2選手はチームに不足する長打力が期待されていた。

未知数な点もあったが、爆発力も秘めていた可能性もある。開幕早々に彼らがいなくなったことで、和製オーダーを余儀なくされた。

負傷で離脱した広島ジェイク・シャイナ-(右)とマット・レイノルズ

負傷で離脱した広島ジェイク・シャイナ-(右)とマット・レイノルズ

開幕連敗から3連勝するも、開幕6戦目から4試合続けてゼロ封負けを喫するなど、苦しい戦いを強いられた。

両外国人不在だけではない。

打線の柱と期待した侍ジャパン組の坂倉将吾の状態が上がらず、小園海斗も開幕直後の爆発から下降。若手の注目株だった田村俊介は調子が落ち込み、18試合目以降はスタメンから外れる試合も出てきた。

理想とはほど遠く、見込んでいた選手たちも振るわない。厳しい状況でも勝率5割前後でしのいでいる。

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