【舞台裏】投手に被弾、笑顔なき6勝…試合直後、巨人戸郷翔征は静かに引き揚げた

巨人の若きエースが苦しんでいます。9月9日の広島戦(東京ドーム)で、戸郷翔征投手(25)は今季6勝目をマークしました。ですが、2回には床田投手にホームランを打たれ、5回8安打4失点(自責3)という内容でした。

試合後、東京ドームのベンチ裏のロッカールームから駐車場へとつながる通路に現れた戸郷投手。試合終了からそれほど時間もたっていませんでした。グラウンドでは9号満塁アーチのリチャード選手、今季40セーブを挙げたマルティネス投手のヒーローインタビューが終わったばかりでした。

昨季まで3年連続12勝を記録し、今季も開幕投手を任されました。なぜ、今シーズンは苦しいのか。胸中を語りました。

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ドラマは注目シーンだけが、見どころではありません。目立たないところにも、さまざまなストーリーが詰まっています。舞台裏で、記者が見て、聞いて、思った話をお届けします。

◆戸郷翔征(とごう・しょうせい)2000年(平12)4月4日、宮崎県都城市生まれ。聖心ウルスラ学園2年夏に甲子園出場。18年ドラフト6位で巨人入団。19年9月21日DeNA戦でプロ初登板。22年から3年連続2桁勝利。22年、24年、最多奪三振。23年WBCで日本代表に選出され優勝に貢献。24年5月24日阪神戦でノーヒットノーラン。昨季まで122試合、55勝35敗、防御率2・75。187センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸3億円。

9月9日、広島戦5回表終了後、阿部監督に声をかけられる

9月9日、広島戦5回表終了後、阿部監督に声をかけられる

「なんとか、乗り越えてほしい」

試合直後の囲み取材で戸郷の状態について問われた阿部監督は親心を込めて言った。

「うん。まあメンタルの部分が大きいと思いますけどね。これだけやられたシーズンって初めてですし、そこをなんとか、乗り越えてほしいなっていうのはありますよね。もう自分しかいないんでね。助けてくれる人はいないので。そこは自分で乗り越えてほしいなと思います」

グラウンドには大歓声の余韻が残っていた。ヒーローのリチャードとマルティネスはスイングルームで大勢の記者に囲まれていた。

閑散とした通路に戸郷が立ち止まった。

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05年入社。写真部、静岡支局を経て、11年11月から野球部。過去担当球団は巨人→西武→DeNA→巨人→遊軍→巨人。 侍ジャパンの国際大会は、15年の第1回プレミア12、17年の第4回WBC、19年の第2回プレミア12、21年の東京五輪。