【あの日あの紙面】昭和49年という時代【名連載復刻】渡哲也「くちなしの花」

「歌っていいな」は、日刊スポーツの1990年代の人気連載です。ヒット曲の誕生秘話を掘り起こすことで、その時代の空気をあぶりだしました。1974年(昭和49年)にヒットした「くちなしの花」は、戦後日本の残り香がにじみ出る名曲です。田中角栄内閣が退陣しアニメ「アルプスの少女ハイジ」が放送され北の湖が横綱になり長嶋が引退した昭和49年。当時の新聞紙面と合わせて、時代を感じてください。

音楽

「くちなしの花」作詞・水木かおる 作曲・遠藤実

くちなしの花の 花のかおりが

旅路の果てまで ついてくる

くちなしの白い花

おまえのような 花だった

 今年は俳優・渡哲也さんの三回忌です。2020年8月10日に肺炎のため78歳で亡くなりました。映画「無頼」シリーズや刑事ドラマ「西部警察」などの勇姿は、今も人々の記憶の中で生きています。歌手としても「くちなしの花」や「みちづれ」などヒット曲を残しました。特に1973年に発表した「くちなしの花」で、翌1974年の第25回NHK紅白歌合戦に初出場を果たしました。実はこの年、渡さんは病気でNHK大河ドラマ「勝海舟」の主演を途中降板し、長期の入院生活を余儀なくされます。公の場から姿を消した渡さんに代わって、渡哲也の存在感を示し続けたのが「くちなしの花」のヒットでした。男の美学を貫き通した渡さんの一面をも垣間見ることのできる名曲です。1996年12月に芸能面の連載「歌っていいな」で掲載した同曲の秘話を紹介します。 (年齢、肩書き、表記などは掲載時のまま)