松本白鸚 中村吉右衛門さんの当たり役「弟のことを思って。そのひとつ」80歳で初役

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歌舞伎俳優中村吉右衛門さんが昨年11月に亡くなり9カ月が過ぎた。「秀山祭(しゅうざんさい)九月大歌舞伎」(4~27日、東京・歌舞伎座)は、一周忌追善として、吉右衛門さんの代表演目や生前に構成を手掛けた演目が上演される。兄松本白鸚(80)、おい松本幸四郎(49)がこのほど、吉右衛門さんへの思い、興行への思いを語った。

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「秀山祭」は、初代中村吉右衛門の芸を伝え、功績をたたえるため、吉右衛門さんが中心になって06年から開催されている。今年は、吉右衛門さんをしのぶ演目が第1~3部すべてにそろった。

白鸚は第2部「松浦の太鼓」に出演し、主人公の松浦鎮信を初役でつとめる。吉右衛門さんが本興行で12回も演じてきた当たり役の1つだ。白鸚は「やるからには弟のことを思って。そのひとつです」と、短い言葉に思いを込める。

秀山祭が初めて開催された当時、白鸚は「兄として誇らしい」と話している。弟を誇らしく思う気持ちは常に持っていた。劇中での追善口上でどんな気持ちを伝えたいか、と聞くと「万感胸に迫ると言うと普通ですが、『ここまでやってきたよ』ということですかね」とし「松浦候の最後のせりふが『褒めてやれ、褒めてやれ』なんです」と、せりふに自身の気持ちを重ねた。体調を崩しながらも舞台に立ち続けていた弟に対し「よく頑張ってきたと思います。もう少し休んで、とは思いましたが、弟には弟の考えがあったと思います」と、ねぎらいの言葉を口にした。