羽生善治7冠も「追っかけ」の反応は・・・96年王将戦VS谷川/レジェンドの記憶④

国民栄誉賞棋士、羽生善治九段(52)が藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)に挑戦する、将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第1局が8日から静岡県掛川市で行われる。将棋界を代表するスターの両者がタイトル戦で激突するのは、初めて。タイトル獲得通算99期の羽生は、100期獲得を目指す。そんなレジェンドは1995年(平7)から翌96年にかけ、前人未到の7大タイトル全制覇を達成した。当時を知る将棋担当の赤塚辰浩記者(58)が記す「レジェンドの記憶」。

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1996年(平8)、谷川浩司王将に挑戦する第45期王将戦7番勝負は、挑戦者の羽生が3連勝して第4局(2月13、14日、山口県豊浦町=現下関市=「マリンピアくろい」)を迎えた。対局前日の12日、両者の現地入りを待ち構えていた報道陣の前で、担当者は青ざめていた。「実は、羽生さんが発熱しまして」。

同月10日、かけ持ちしている棋王戦5番勝負第1局が松山市で行われた。現地は12年ぶりの大雪だった。そこで体調の異変を感じたという。翌日帰京したが、病院は祝日で休診。12日に診察を受け、予定よりも4時間遅れの午後7時すぎ、前夜祭の会場に姿を見せた。関係者に注がれたグラスのビールに少し口をつけただけ。10分ほどで退席した。「これで勝てば、お化け」。関係者からはこんな声も出た。

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