桂小文枝が語りつくす 上方落語界への思い、期待の女性ホープ、江夏豊との秘話

失敗しても、どこか憎めない。この言葉が大阪で一番ピッタリはまる男ではなかろうか。桂小文枝(72)は、何歳になっても偉ぶることなく、フレンドリーな空気を周囲に漂わせる。爆笑トークを交えながら、上方落語界への思いから、大好きな阪神タイガースのことまでたっぷり語り尽くした。

お笑い

◆桂小文枝(かつら・こぶんし) 本名・立入勉三。1951年(昭26)1月5日、大阪市生まれ。69年、5代目桂文枝に入門し、桂きん枝を名乗る。MBSテレビ「ヤングおー!おー!」の落語家ユニット「ザ・パンダ」一員として注目される。ABCテレビ「プロポーズ大作戦」では愛のキューピッドとして人気者に。飾り気のない人柄、ざっくばらんなトークで、幅広いファンから親しまれる。19年3月、4代目桂小文枝を襲名。上方落語協会では副会長、相談役を歴任。身長165センチ。

ものさしの思い出

現在の肩書は、上方落語協会の相談役。入門から54年。キャリアを積み重ね、桂小文枝は大ベテランとなった。

「第3回大阪落語祭」(2月14日まで)を迎えるにあたっては感慨深げ。各一門が集結し、所属事務所の枠をこえてのフェスティバル開催。初日(1月27日)のなんばグランド花月(NGK)では、桂福団治、桂文枝、笑福亭福笑、月亭八方、桂南光、桂米団治、月亭八光による口上が厳かに行われた。

小文枝 それぞれ事務所が別々に分かれているのに、こうして集まれることがありがたい。東京では落語文化がしっかり根付いていますが、大阪では伝統的に漫才と吉本新喜劇が強いんです。師匠(5代目桂文枝)が言ってましたが、戦後(の上方落語家)は10人を切ってました。そこから四天王(笑福亭松鶴、桂米朝、3代目桂春団治、5代目文枝)が必死になって盛り返してきた。落語の定席・天満天神繁昌亭がオープンして16年。いまや300人から大阪に落語家がいるんやから、ほんまに変わりましたね。顔を合わせても「え? 誰やったかな?」と名前が浮かばない人も増えました。

大阪落語祭は、心斎橋SPACE14や繁昌亭などで落語会が行われる。入場料1000円という格安のものもあり、落語ファンならうれしいイベント。落語家の数も増え、こうしたイベントも開催。とはいえ、内情には課題もある。

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