AVモザイク処理失敗“事件”の真相/「グッドバイ、バッドマガジンズ」対談1

映画「グッドバイ、バッドマガジンズ」(横山翔一監督)は、22年10月に東京・テアトル新宿で行われた1週間限定上映が連日、チケットが即、完売する大反響で、今年1月20日から全国に拡大上映された。成人男性向け雑誌の編集部の舞台裏という独特の世界を描きながら、社会で働き、もまれる全ての人が悩むであろう組織で働く中での理不尽さ、壁などを描いた“お仕事映画”としての普遍性が、働く人々の心に刺さり、その反響の輪が広がっている。

一方で、物語が実話に基づいていることも、大きなポイントだ。オリジナルの脚本は、成人男性向け雑誌の編集部で実際に働いた経験を持つ宮嶋信光プロデューサー(39)と、映像制作会社で働いていた横山翔一監督(35)が、自身や周囲の実話をベースに、脚本の山本健介氏と3人で約30人の業界関係者を取材して作り上げた。宮嶋プロデューサーと横山監督が対談し“禁断トーク”を展開した。第1回は製作の経緯と、宮嶋プロデューサーの実話を描いた、編集部員が付録のDVDに落とし込んだアダルトビデオの映像の、モザイク処理をし損ねた“事件”の真相を明かした。

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◆「グッドバイ、バッドマガジンズ」 オシャレなサブカル雑誌が大好きな詩織(杏花)は、念願かなって都内の出版社に就職も、入ったのは卑猥(ひわい)な写真と猥雑(わいざつ)な言葉が飛び交う男性向け成人雑誌の編集部だった。理想とかけ離れた職場にテンションは下がりつつも、女性編集長の澤木はるか(春日井静奈)や、元セクシー女優のライター・ハル(架乃)ら、女性がエロを追求する姿に刺激を受け仕事に興味を持ち始める。そんな中、とんでもないミスを見逃した雑誌が出版されたことが発覚したことを境に、激務をともにした同僚が次々と退社。そんな中、オーバーワークで心も体も疲弊しきった詩織は、信頼を寄せていた先輩の向井英(ヤマダユウスケ)とハルの、信じられない事実を知りショックを受ける。

映画で完全再現

「グッドバイ、バッドマガジンズ」は、成人男性向け雑誌の編集部の人々を描いた、業界内幕エンターテインメントだ。電子出版の台頭による出版不況、2018年(平30)9月から全国で順次、進んだ大手コンビニチェーンからの成人誌撤退、追い打ちをかけるように起きた新型コロナウイルス感染拡大など、激動の時代を生きた、業界の人々にスポットを当てた。

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