将棋と似た感覚か…藤井聡太8冠「気が済むまで何時間でも」広告裏面いっぱい迷路作り

天賦の才能と飽くなき「探究心」で全8冠制覇の歴史的快挙を成し遂げた藤井聡太8冠。少年時代は、どのような環境で育ち、どういった教育を受けてきたのか。幼少期の「育ち方」がベースとなり、いま将棋界のトップに上り詰めた。

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幼少編<2>

偉業達成の一夜明け会見で笑顔を見せる藤井8冠(撮影・前田充)

偉業達成の一夜明け会見で笑顔を見せる藤井8冠(撮影・前田充)

木製おもちゃ「キュボロ」

4歳のとき、「ハートバック」作りの次ぎに夢中になったのは立体迷路のスイスの木製おもちゃ「キュボロ」。溝や穴がある立方体を積み木のように重ね、ビー玉が通る道を作る立体パズル玩具だった。時間を忘れて集中した。

母裕子さんは言う。「自発的に何かしたいと思える子どもになってほしいなと。やりなさいと言われてやるのではなく、自分がやりたいことをやれるといいな。子どもが集中しているときはなるべく邪魔をしないようにしました」。

5歳の夏、藤井は祖母からもらった将棋セットで覚え、すぐ夢中になった。祖父の訓一(くんいち)さん(16年2月に死去)から初歩の手ほどきを受けたが、熱心さとのみこみの早さから祖父では物足りなくなった。

将棋を始めたころ、迷路作りにも熱中した。新聞広告の折り込み広告の裏面いっぱいに描いた。スタートとゴールを決め、どの道を残し、どの道を分岐させるのか。将棋と似ている感覚があったのか、裕子さんは「気が済むまで何時間でも集中して書いていた。大人でも解けないような難しい迷路もあった」。

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